水と水蒸気のように、同じ物質の液体と蒸気が熱平衡にあるときの、その蒸気を飽和蒸気とよぶ。このような飽和蒸気は、水に限らず、他の液体の場合についても同様に定義される。また氷のような固体についても定義される。飽和蒸気の圧力を飽和蒸気圧とよび、その圧力は通常パスカル(Pa)または「気圧」を単位として表す。
純粋な物質の飽和蒸気圧は、温度だけで決まり、一般に温度とともに高くなる。ただし、液体と固体の表面が平面でないと、この蒸気の圧力は異なってくる。水の場合には、0℃から100℃になると、0.00603気圧から1気圧に増加する。なお、氷の蒸気圧は0.002561気圧である。一般に、1気圧の下で、液体の温度をあげ、飽和蒸気圧が1気圧に達すると沸騰し、この温度がその物質の沸点である。蒸気の圧力が飽和蒸気圧以下のときには、その蒸気を不飽和蒸気という。高温の水蒸気の場合には過熱蒸気ともいう。また、その温度の飽和蒸気圧よりも圧力の高い蒸気を過飽和蒸気という。過飽和蒸気は不安定で、ちりなどの存在により容易に液滴を生ずる。
液体の上に、空気など他の気体が存在しているときには、その液体の蒸気の分圧を蒸気圧とよぶが、飽和蒸気圧の値は、このような気体の存在にはほとんど影響されない。空気中の水の蒸気圧と、その温度の飽和蒸気圧の比を%で表したものを相対湿度とよんでいる。このような不飽和水蒸気を冷却し、その蒸気圧が、その温度の蒸気圧に等しくなると水滴を生ずる。この温度を露点といい、露点と気温から相対湿度を知ることができる。
[小野 周]
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一定の温度に保った液体(または固体)を一定体積の閉じた容器に入れると,その容器が液体(または固体)によって完全に満たされているのでないかぎり,気化が起こり,気相の圧力はしだいに増す。しかし,その圧力が,温度で定まるある一定の値になると気化が止まって,その液体(または固体)と蒸気は平衡に存在する。この蒸気のことをその液体(または固体)の飽和蒸気と呼び,その圧力を飽和蒸気圧と呼ぶ。また,最大蒸気圧,最大蒸気張力などとも呼ばれるが,単に蒸気圧という場合も,一般には飽和蒸気圧を意味する。その値は物質によって異なり,また一般に温度の上昇とともに増す。温度と飽和蒸気圧の関係は,クラウジウス=クラペイロンの式で表される。固体の蒸気では,昇華圧と呼ぶこともある。
執筆者:小野 嘉之
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