骨品(読み)こっぴん

改訂新版 世界大百科事典 「骨品」の意味・わかりやすい解説

骨品 (こっぴん)

朝鮮新羅の王京人を対象にした血縁的身分制。聖骨真骨骨階層王族)と,六頭品,五頭品,四頭品などの頭品階層(一般貴族)とによって構成される。このうち,聖骨身分は真徳女王の死去により654年に消滅したと伝えられているが,そもそも聖骨は実在せず後代の追尊にすぎないとする見方もある。頭品階層はその名称から考えて,本来六頭品から一頭品までの6階層より成っていたと思われる。骨品の各階層を構成する基礎集団は〈族〉などと表現される同族集団であり,どの階層に属するかは基本的には生れによって決定される。それを保障するものが,同族集団を基礎に同一骨品内でとりむすばれる婚姻関係であった。同時に,政治的理由による骨品降格の例もみられ,骨品編成における政治的側面も無視できない。骨品は官位官職と密接にむすびついていた。十七等官位の第五位大阿飡以上や中央官庁長官軍団将軍などは,真骨の独占するところであり,骨品の各階層ごとに昇りうる官位の上限や就任しうる官職が決められていた。さらに骨品の規制は衣服車騎など日常生活にも及んでいた。骨品の原型は新羅の国家形成の過程ですでに形づくられていたと思われるが,制度として確立するのは,王権が確立し国家機構の整備がすすんだ6世紀のことであった。以後新羅滅亡まで存続するが,9世紀には王者が骨品を超越していることが確認されており,その階層構造や歴史的性格は一様ではなかった。
新羅
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「骨品」の解説

骨品(こっぴん)

朝鮮の新羅社会制度。骨(こつ)または品(ひん),族,姓骨ともいう。氏族的出自による身分を示し,聖骨,真骨,六頭品,五頭品,四頭品もしくは真骨,六頭品,五頭品,四頭品,平人の5段階に分かれる。聖・真両骨は王族。これにより位階や官職はじめ婚姻などが制約された。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の骨品の言及

【姓】より

…姓の制度は,日本古代において独自なもので,東アジアの他の国々にはみられない。ただし姓をカバネと読むのは,朝鮮の新羅(しらぎ)の社会制度で,位置の上下を示すのに〈骨品(こつぴん)〉の語を用いたので,その〈骨〉に相当する日本語カバネ(骸骨)が用いられたものとする説がある。姓(せい)【佐伯 有清】。…

【新羅】より

…これを受けて新羅の貴族会議では647年に女王を廃位するが,金庾信(きんゆしん)など下級貴族や地方豪族が女王を擁立して,上大等毗曇(ひどん)などの貴族勢力と戦って勝った。この時期に王家の血縁思想が高揚し,骨制(のち骨品の制に発展)が制度化され,651年には官制も改革され,律令官僚体制への第一歩を踏み出した。660年唐との軍事同盟がようやく成立し,唐軍と連合して百済を滅ぼした。…

【朝鮮】より


[巨視的にみた社会変動]
 まず最初に,前近代の歴史の中で重要な位置を占め,しかもある程度詳細に社会の実態を知ることができる統一新羅時代,高麗時代,李朝時代の三つの時代をとりあげ,それぞれの社会の特徴を対比させて,社会変動の状況を巨視的にみてみよう。(1)支配層の社会的基盤 支配層のあり方をみると,統一新羅時代の支配層は,骨品制という新羅独特の身分制の中の,上層部分によって占められていた。ところで骨品制は本来,新羅の王京人(慶州人)に限定された身分制であった。…

※「骨品」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android