高野物狂(読み)こうやものぐるい

日本大百科全書(ニッポニカ)「高野物狂」の解説

高野物狂
こうやものぐるい

能の曲目。四番目物。観世(かんぜ)、宝生(ほうしょう)、金剛(こんごう)、喜多(きた)四流現行曲。ただし観世、金剛は明治以降の復曲。世阿弥(ぜあみ)作。世阿弥は『三道(さんどう)』に遊狂物の新作の代表として曲名をあげている。高師(たかし)四郎(シテ)は主君に死別し、遺児の春満(しゅんみつ)(子方)を養育しているが、春満出家の置き手紙が家臣によって届けられる。四郎が幼君の後を慕ってあてのない旅に出る態で前段を終わる。高野山の僧(ワキ)が春満を伴っているところへ、物狂いとなった後シテが現れ再会を果たす。ともに仏道に入る結末と、故郷へ連れ帰る結末との2通りの脚本がある。霊山の描写と求道(ぐどう)の姿が独得の雰囲気をもつ異色の能である。主従の物狂いの能は、ほかにも世阿弥作の『土車(つちぐるま)』がある。

[増田正造]

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精選版 日本国語大辞典「高野物狂」の解説

こうやものぐるい カウヤものぐるひ【高野物狂】

謡曲。四番目物。観世・宝生・金剛・喜多流。世阿彌作(曲舞は観世元雅作曲)。高師四郎は主君平松の遺子春満丸(しゅんみつまる)がひそかに出家して行方不明になったので、それを捜して旅に出る。狂気した四郎は高野山にたどりつき、師の僧に伴われて来ていた春満丸に再会する。結末は、観世流では四郎ともに故郷に帰り、宝生・金剛・喜多流では四郎も出家する。高野。

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