髪置(読み)かみおき

精選版 日本国語大辞典 「髪置」の意味・読み・例文・類語

かみ‐おき【髪置】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 幼児頭髪を初めてのばす時にする儀式江戸時代、公家は二歳、武家・民間では三歳の一一月一五日にすることが多かったが、必ずしも一定していない。小笠原流では白髪をかぶせ、頂におしろいの粉を付け、櫛(くし)で左右の鬢(びん)を三度かきなでて無病長寿を祈るのを例とした。現在でも男子の袴着、女子の帯解とともに「七五三祝い」として残されている。髪立て。《 季語・冬 》
    1. 髪置<b>①</b>〈絵本女中風俗艷鏡〉
      髪置〈絵本女中風俗艷鏡〉
    2. [初出の実例]「姫宮〈予第三宮〉御髪置有祝着之儀、芝殿役之、殊更三觴祝着如例」(出典:看聞御記‐応永二九年(1422)一二月三日)
  3. 江戸時代、僧侶が伊勢参詣をする時、付け鬢(びん)をしたこと。
    1. [初出の実例]「伊勢で髪おき高縄では袖とめ」(出典:雑俳・柳多留‐二五(1794))
  4. 唐衣(からぎぬ)の襟の中央背面で垂髪(すいはつ)のあたる部分。

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改訂新版 世界大百科事典 「髪置」の意味・わかりやすい解説

髪置 (かみおき)

男女の3歳児に,それまで髪をそっていたのをやめて,のばしはじめる儀礼。カミタレカミヨケ,カミタテなどともいう。髪置の儀は,鎌倉時代から室町,江戸時代まで行われ,公家では2歳,武家では3歳の11月15日に多くは行われた。庶民の間でも2~3歳にカミオキの祝いといって,11月15日に産婆や近隣を招いて,頭の頂上を円形にそったり,両耳のはしに垂れ髪を残す儀礼が大正時代まで行われており,うどん,そば,すし,甘酒などをご馳走し,産土神へまいった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「髪置」の意味・わかりやすい解説

髪置
かみおき

普通、七五三とよばれている子供のお祝いのうち、3歳の祝いを髪置祝いとか、カミタテ祝いなどとよぶ。櫛(くし)置き祝いという地方もある。子供の頭髪の変化を3歳の祝いの名称としているのは、国内でも関東地方九州の一部などに聞かれる。赤子から子供になる意味で、髪を長く伸ばし始める日であると、埼玉県の川越(かわごえ)地方ではいっている。この日には、子供には親戚(しんせき)や知己から、祝い品として布裂(きれ)や下駄(げた)などが贈られる。この祝いは女児の場合に多かった。新しい着物を整えて、氏神参りをしたという。しかし実際にはこの名称は多くの地で忘れられている。

[丸山久子]

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百科事典マイペディア 「髪置」の意味・わかりやすい解説

髪置【かみおき】

2〜3歳の男女の子どもが髪をのばし始めるのを祝う儀礼。髪立,櫛置(くしおき)ともいい,鎌倉〜江戸時代に行われた。子どもを碁盤にすわらせ,頭に絹糸や真綿で作った髪形をのせ,山橘(たちばな),熨斗鮑(のしあわび)等の縁起物をつけて髪の成長を祈願する。→七五三

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「髪置」の意味・わかりやすい解説

髪置
かみおき

幼児が頭髪を剃ることをやめて伸ばしはじめるときの儀式。髪立,櫛置などともいう。平安時代末期から行われた。綿帽子,白髪になぞらえた白糸などを頭上に置いて祝う。公家では2歳で,武家では3歳の 11月 15日にこれを行い,5~6歳になると髪削 (かみそぎ) ,深曾木 (ふかそぎ) といって将来の生髪を祝う儀式を行う習慣があった。

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世界大百科事典(旧版)内の髪置の言及

【唐衣】より

…またこの襟には,ちょうど背の中央,うなじの下に当たるところに三角形に飛び出した部分がある。これを髪置(かみおき)と称するが,古い時代にはこのようなものはなかったようである。熊野速玉大社蔵の室町時代の神服の唐衣には,この髪置のあるものと,これがまったくなくて,羽織の襟と同じような形になっているものとがある。…

【七五三】より

…地方によって必ずしも七五三とはかぎらず,3歳と7歳,または7歳だけを祝うというところもある。3歳の祝いにはヒモオトシとかオビムスビ,カミオキ(髪置)祝などがある。このとき,女児がつけ紐をとってはじめて帯を結び,三つ身の着ものを着て宮まいりをする所もある。…

※「髪置」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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