(読み)たてがみ

精選版 日本国語大辞典 「鬣」の意味・読み・例文・類語

たて‐がみ【鬣】

〘名〙 哺乳類ライオン、馬などにみられる、頸部背面の比較的長い毛の総称雄性ホルモン支配を受けるものと受けないものとがある。ライオンは前者、馬は後者の例。たかがみ。たちがみ。たつかみ。
花鳥余情(1472)二三馬鬣は馬のたてがみのごとくさきをするとにつきたるつかを云なり」

たち‐がみ【鬣】

〘名〙 =たてがみ(鬣)新撰字鏡(898‐901頃)〕
正法眼蔵(1231‐53)洗面うまのたちがみのごとくに」

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デジタル大辞泉 「鬣」の意味・読み・例文・類語

たて‐がみ【×鬣】

馬や雄のライオンなどのくびの背側に生えている長い毛。たちがみ。

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改訂新版 世界大百科事典 「鬣」の意味・わかりやすい解説

鬣 (たてがみ)
mane

哺乳類の頭頂から肩近く,あるいはさらに後ろまで,背すじを中心に生える,他の部分の毛よりはっきりと長い毛の一群で,他の部分の毛流に逆らい直立していることが多い。ウマ,ロバ,シマウマ,キリンのように首の背面正中線付近に限局されるもの,ツチハイエナイボイノシシのように背すじまで延びるもの,雄ライオンのように首の側面や下面まで広がっているものなどがある。多くは雄雌関係なくあるが,ライオンのように雄の成獣にだけあり,二次性徴になっているものもある。たてがみは食肉類(ライオン,シマハイエナ,ツチハイエナ,タテガミオオカミなど),奇蹄類(アメリカバク,ウマ類),偶蹄類イノシシ類,アカシカなどのシカ類,キリン,セーブルアンテロープ,ヌーなどのレイヨウ類)に見られるほか,少数の齧歯(げつし)類(タテガミネズミタテガミヤマアラシ)と霊長類(マントヒヒなど)にも見られる。タテガミネズミ,ヤマアラシ,ツチハイエナ,イノシシなどは,敵に襲われるとたてがみを立て,体を大きく見せるところから,これらのたてがみは威嚇に役だつと考えられ,ライオンやシカ類のたてがみは性的な誘引に関係があるらしいが,その他のたてがみの効用は知られていない。体の毛は普通,一定の長さになると成長が止まり,年に1~2回(まれに3回)抜け変わるが,たてがみを形成する毛は,人間の頭髪と同様,数年も延び続けるものが多い。
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