精選版 日本国語大辞典 「忌み」の意味・読み・例文・類語
いみ【忌・斎・諱】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「いむ(忌)」の連用形の名詞化 )
- ① 神聖に対する禁忌。心身を清浄に保ち、けがれを避け慎むこと。斎戒。
- ② ( ①から転じて ) 忌み避けるべきだとされていること。遠慮があること。はばかるべきこと。
- [初出の実例]「いかで対面給はらん、いみなき身なりせば、そのわたりにこそは物せめ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)
- 「事のいみあるは、こたみは奉らじ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)絵合)
- ③ 死のけがれに対する禁忌。人の死後、喪にこもるべき一定の期間。喪中。喪。服(ぶく)。
- [初出の実例]「故中務の宮の北の方うせ給ひてのち〈略〉御いみなどすぐしては」(出典:大和物語(947‐957頃)九四)
- ④ 出産のけがれ、月経のけがれ等の血のけがれに対する禁忌。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ⑤ 陰陽道などに基づく方角や日の禁忌。方たがえ。物忌。
- [初出の実例]「いとつれづれなるを、いみもたがへがてら、しばしほかにとおもひて」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- ⑥ 「いみだけ(斎竹)」の略。
- [初出の実例]「今日祭る神の恵はかねてより卯月のいみのさして知りにき〈藤原季経〉」(出典:六百番歌合(1193頃)夏上)
- [ 2 ] 〘 造語要素 〙 けがれを清めた。神聖な。「忌服屋(いみはたや)」「斎殿(いみどの)」など。
忌みの語誌
「物忌み」「方忌み」などの語が平安時代から見られ、陰陽道の浸透によって、日常生活においてもさまざまな「忌み」が行なわれた。