鶴沢清六(3世)(読み)つるざわせいろく[さんせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鶴沢清六(3世)」の意味・わかりやすい解説

鶴沢清六(3世)
つるざわせいろく[さんせい]

[生]明治1 (1868). 静岡
[没]1922
義太夫節三味線方。本名田中福太郎。最初は長唄修業をしたが,上方に出て 1885年 2世鶴沢鶴太郎に入門し,鶴沢福太郎の名で御霊文楽座(→文楽座)に出座。1887年 3世鶴沢鶴太郎,1893年に 3世鶴沢叶を襲名する。1898年から堀江明楽座に移り,病没した 2世豊沢団平に代わって 3世竹本大隅太夫の相三味線となる。1903年に大隅太夫とともに文楽座に復帰し 3世鶴沢清六を襲名するが,1906年に大隅太夫のみ文楽座を退座する。1909年から 2世豊竹古靱太夫(→豊竹山城少掾)の相三味線となり,没するまで指導にあたった。明治期を代表する名人の一人である大隅太夫を通じて団平譲りの彦六座系の手法を学び,文楽座では 6世豊沢広助薫陶を受け,山城少掾の芸の根幹を形づくった点で,以後の浄瑠璃に与えた影響は大きい。豪快さと繊細さを兼ね備え,「可ならざるはなし」と称賛された。団平以降の明治・大正期を代表する名人の一人である。(→人形浄瑠璃文楽

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