笠智衆(読み)リュウチシュウ

デジタル大辞泉 「笠智衆」の意味・読み・例文・類語

りゅう‐ちしゅう〔リフ‐〕【笠智衆】

[1904~1993]俳優熊本の生まれ。小津安二郎監督に見出され、昭和3年(1928)に同監督の「若人の夢」に出演以後、「晩春」「麦秋」「東京物語」など、小津作品に欠かせない俳優として活躍した。他に「二十四の瞳」「男はつらいよ」など。

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「笠智衆」の解説

笠 智衆
リュウ チシュウ


職業
俳優

生年月日
明治37年 5月13日

出生地
熊本県 玉名郡玉水村(玉名市)

学歴
東洋大学文学部印度哲学科〔大正13年〕中退

経歴
熊本県の来照寺の二男。東洋大に進むが、大正14年松竹蒲田撮影所の研究生に応募して合格。昭和3年小津安二郎監督「若人の夢」に出演。長い下積みの末、11年同監督作品「大学よいとこ」で役がつき、以来バイプレーヤーが中心ではあるが作品の柱となる重要な役を演じ、出演本数は360本を越える。40年NHK「たまゆら」でテレビ初出演。43年からは山田洋次監督〈男はつらいよ〉シリーズの柴又帝釈天の“御前様”役で45本に出演。代表作は小津安二郎監督作品「父ありき」「晩春」「麦秋」「東京物語」「秋刀魚の味」、稲垣浩監督「手をつなぐ子等」「嵐」、山田洋次監督作品「家族」「故郷」、テレビでは倉本聡作の「幻の町」「波の盆」、山田太一作「ながらえば」「冬構え」「今朝の秋」など。毎日映画コンクール男優演技賞など受賞多数。42年紫綬褒章、50年勲四等旭日小綬章を受章著書自伝「俳優になろうか」などがある。

受賞
紫綬褒章〔昭和42年〕,勲四等旭日小綬章〔昭和50年〕 ブルーリボン賞助演男優賞〔昭和26年〕「我が家は楽し」「命美わし」「麦秋」,NHK放送文化賞(第37回)〔昭和61年〕「幻の町」,菊池寛賞(第35回)〔昭和62年〕,山路ふみ子賞(功労賞 第11回)〔昭和62年〕,東京都文化賞(第4回)〔昭和63年〕,川喜多賞(第8回)〔平成2年〕,熊本県近代文化功労者〔平成2年〕,日本映画テレビプロデューサー協会賞(特別賞 平5年度)〔平成6年〕,日本アカデミー賞会長特別賞(第17回)〔平成6年〕 毎日映画コンクール男優演技賞〔昭和23年〕「手をつなぐ子等」「生きている画像」,毎日映画コンクール男優演技賞〔昭和26年〕「海の花火」「命美わし」,毎日映画コンクール男優助演賞〔昭和45年〕「家族」,毎日映画コンクール特別賞(平2年度)〔平成3年〕

没年月日
平成5年 3月16日 (1993年)

家族
長男=笠 徹(東宝AD取締役),孫=笠 兼三(俳優)

伝記
新・代表的日本人拝啓 笠智衆様春風想―父・笠智衆の思い出発想する老人たちあるがままに華がある―時代を映し出す人々俳優 笠智衆俳優になろうか―「私の履歴書」男優女優の昭和誌 勢古 浩爾 著NHKスペシャル 編笠 徹 著笠 智衆 ほか著朝日新聞西部本社 編岩切 卓士 撮影笠 智衆 著はが やすし 著(発行元 洋泉社PHP研究所扶桑社日本テレビ放送網世界文化社葦書房ホワイトスタジオ出版事業部,星雲社〔発売〕朝日新聞社人間の科学社 ’06’94’94’94’92’92’92’92’92発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「笠智衆」の解説

笠 智衆
リュウ チシュウ

昭和・平成期の俳優



生年
明治37(1904)年5月13日

没年
平成5(1993)年3月16日

出生地
熊本県玉名郡玉水村(現・天水町)

学歴〔年〕
東洋大学文学部印度哲学科〔大正13年〕中退

主な受賞名〔年〕
毎日映画コンクール男優演技賞〔昭和23年〕「手をつなぐ子等」「生きている画像」,毎日映画コンクール男優演技賞〔昭和26年〕「海の花火」「命美わし」,ブルーリボン賞助演男優賞〔昭和26年〕「我が家は楽し」「命美わし」「麦秋」,紫綬褒章〔昭和42年〕,毎日映画コンクール男優助演賞〔昭和45年〕「家族」,勲四等旭日小綬章〔昭和50年〕,NHK放送文化賞(第37回)〔昭和61年〕「幻の町」,菊池寛賞(第35回)〔昭和62年〕,山路ふみ子賞(第11回・功労賞)〔昭和62年〕,東京都文化賞(第4回)〔昭和63年〕,川喜多賞(第8回)〔平成2年〕,熊本県近代文化功労者〔平成2年〕,毎日映画コンクール特別賞(平2年度)〔平成3年〕,日本映画テレビプロデューサー協会賞(平5年度・特別賞)〔平成6年〕,日本アカデミー賞会長特別賞(第17回)〔平成6年〕

経歴
熊本県の寺の二男に生まれる。東洋大に進むが、大正14年松竹蒲田撮影所の研究生に応募して合格。昭和3年小津安二郎監督「若人の夢」に出演。長い下積みの末、11年同監督作品「大学よいとこ」で役がつき、以来バイプレーヤーが中心ではあるが作品の柱となる重要な役を演じ、出演本数は360本を越える。40年NHK「たまゆら」でテレビ初出演。43年からは山田洋次監督「男はつらいよ」シリーズの柴又帝釈天の御前様役で45本に出演。代表作は小津安二郎監督作品「父ありき」「晩春」「麦秋」「東京物語」「秋刀魚の味」、稲垣浩監督「手をつなぐ子等」「嵐」、山田洋次監督作品「家族」「故郷」、テレビでは倉本聡作の「幻の町」「波の盆」、山田太一作「ながらえば」「冬構え」「今朝の秋」など。毎日映画コンクール男優演技賞など受賞多数。また紫綬褒章、勲四等旭日小綬章を受章。著書に「俳優になろうか〔私の履歴書〕」などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「笠智衆」の意味・わかりやすい解説

笠智衆
りゅうちしゅう
(1904―1993)

俳優。熊本県生まれ。1925年(大正14)東洋大学在学中に松竹キネマ蒲田(かまた)撮影所の俳優研究所第1期生として松竹に入社したが、不器用なことから大部屋で10年間下積み暮らしをした。1935年(昭和10)に小津安二郎監督にみいだされて『大学よいとこ』に準主役で出演し、以後小津監督の描く小市民の生活の哀歓を演じる主役に用いられ、『晩春』『麦秋』『東京物語』『秋刀魚(さんま)の味』などに主演した。ほかには、1948年稲垣浩監督『手をつなぐ子等』、1954年木下恵介(けいすけ)監督『二十四の瞳』、1955年『野菊の如き君なりき』、1969年から始まった山田洋次監督の寅さんシリーズ『男はつらいよ』、1990年黒澤明監督『夢』などに出演し、また、テレビドラマでも活躍した。平成5年3月16日死去。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「笠智衆」の意味・わかりやすい解説

笠智衆【りゅうちしゅう】

俳優。熊本県生れ。1924年東洋大を中退し,翌年松竹蒲田撮影所に入所。長い下積み時代をへて,小津安二郎監督《大学よいとこ》(1935年)で主演級の役を得る。その後代表作《晩春》(1949年),《東京物語》(1953年)をはじめとする小津作品に欠かせない存在として活躍。若い頃から老け役をこなし,娘を嫁に送り出す父親などを好演した。小津の没後は,山田洋次監督《男はつらいよ》シリーズの住職役で広く人気を博した。エッセーに《小津安二郎先生の思い出》などがある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「笠智衆」の意味・わかりやすい解説

笠智衆
りゅうちしゅう

[生]1904.5.13. 熊本
[没]1993.3.16. 神奈川
映画俳優。 1926年松竹に入社。 10年近く大部屋俳優として過したのち,小津安二郎に認められ,『大学よいとこ』 (1936) に出演。以後,出世作『一人息子』 (36) や『父ありき』 (42) ,『晩春』 (49) ,『東京物語』 (53) ,『秋刀魚の味』 (62) など,おもに小津作品で味わい深い演技をみせる。ほかに『手をつなぐ子等』 (48) ,『野菊の如き君なりき』 (55) ,『家族』 (70) など。寅さんシリーズのほかテレビドラマでも味わい深い演技をみせた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「笠智衆」の解説

笠智衆 りゅう-ちしゅう

1904-1993 昭和-平成時代の俳優。
明治37年5月13日生まれ。大正14年松竹に入社。大部屋俳優をへて小津安二郎監督にみいだされ昭和10年「大学よいとこ」に出演,以後「晩春」「東京物語」など小津作品にかかせぬ存在となる。のち山田洋次監督の「家族」や「男はつらいよ」シリーズなどでも人気を博した。平成5年3月16日死去。88歳。熊本県出身。東洋大中退。

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367日誕生日大事典 「笠智衆」の解説

笠 智衆 (りゅう ちしゅう)

生年月日:1904年5月13日
昭和時代;平成時代の俳優
1993年没

笠 智衆 (りゅう ちしゅう)

生年月日:1906年5月13日
昭和時代;平成時代の俳優
1993年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の笠智衆の言及

【東京物語】より

…脚本は監督自身と名コンビの野田高梧,撮影は《戸田家の兄妹》(1941)以来常連の厚田雄春,音楽はこの作品から常連になる斎藤高順。地方から上京した老夫婦(笠智衆,東山千栄子)が血縁の子どもたちの家に快く迎えられず,逆に戦死した息子の嫁(原節子)にもてなされるという題材は,アメリカ映画《明日は来らず》(レオ・マッケリー監督,1937)に想を得たものといわれるが,召集中の小津はその映画を見ておらず,それは野田高梧の脚本に影響を与えたにとどまる。老境を迎えた両親と壮年に達した子どもたちとの関係はむしろ《戸田家の兄妹》の戦後版といえよう(もっとも,《戸田家の兄妹》そのものもヘンリー・キング監督のアメリカ映画《オーバー・ゼ・ヒル》(1931)の翻案といわれているのだが……)。…

【晩春】より

…戦後の小津が脚本家の野田高梧(1893‐1968)と組んで原節子を初めて主演に迎えた記念すべき作品。撮影は小津との名コンビで知られる厚田雄春(ゆうはる)(1905‐92)で,笠智衆(1904‐93)が婚期の娘をもつやもめの父親役という戦後の小津映画のパターンを作った。父と娘との近親相姦的とも思える愛情を端正な画調で巧みに緩和し,あたかも欲望を超越したかのごとき雰囲気を出すことに成功した小津は,《父ありき》(1942)以来の片親の主題を,のちに《秋日和》(1960),《秋刀魚の味》(1962)などで変奏する基礎を築いた。…

※「笠智衆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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