黄帝内経(読み)こうていだいけい

日本大百科全書(ニッポニカ)「黄帝内経」の解説

黄帝内経
こうていだいけい

中国の古典医学書。著者、著作年代ともに不明。前(前206~後8)末ごろ存在していた。『漢書(かんじょ)』「芸文志(げいもんし)」に『黄帝内経』18巻とあるが、内容は明らかではない。『素問(そもん)』9巻、『霊枢(れいすう)』9巻からなっていたといわれ、今日、『黄帝内経』には『黄帝内経素問』『黄帝内経太素(たいそ)』『黄帝内経霊枢』の3種の書がある。『黄帝内経素問』は5世紀末ごろの全元起(ぜんげんき)が釈を加え、『全元起注黄帝素問』8巻とした。代の王冰(おうひょう)は訛(か)字を正し、脱字を補い、注を入れ篇(へん)の順序も変えるなどして24巻81篇の『素問』にした。この書物を基にして北宋(ほくそう)の仁宗(じんそう)帝(在位1022~1063)の勅命により、林億(りんおく)・高保衡(こうほこう)らが『重広補注黄帝内経素問(じゅうこうほちゅうこうていだいけいそもん)』24巻の現行本とした。医学全般の基礎理論が書かれている。『黄帝内経太素』30巻は隋(ずい)代(581~618)の楊上善が著した。これは『黄帝内経素問』のように変更(王冰の改変、林億らの校改)を受けていないので珍重されている。中国では南宋のころから亡失していたが、日本の京都仁和寺(にんなじ)に古写本が存している(国宝)。『黄帝内経霊枢』12巻には鍼灸(しんきゅう)治療に関する理論が書かれ、重要な書とされている。

[山本徳子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「黄帝内経」の解説

黄帝内経
こうていだいけい
Huang-ti-nei-ching

中国最古の医書とされている。素問編と霊枢編の2部から成る。素問編は『黄帝内経素問』あるいは単に『素問』ともいう。黄帝とその臣岐伯との問答に託し,陰陽五行説を利用して,生理病理,衛生の基礎的理論を述べており,多少後世改修があるが,,漢頃の作と考えられる。霊枢編は鍼灸の術について述べる。現存の霊枢の由来については不明の点が多い。素問には王冰の注 24巻があり,霊枢には宋の 崧 (ししょう) の注 24巻がある。これらとは別に,唐の楊上善の注による『黄帝内経太素』 30巻が日本にだけ伝わり,『黄帝内経』の旧形を保存している。

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百科事典マイペディア「黄帝内経」の解説

黄帝内経【こうていだいけい】

〈こうていないきょう〉とも。中国最古の医書。黄帝に仮託した,戦国時代から漢にかけての医学知識の結集。もと18巻で〈素問〉と〈霊枢〉からなる。素問は生理,病理,衛生を論じ,霊枢は針治の法を説く。流布本は唐代の24巻本で,別に素問には《黄帝内経太素》30巻があり,仁和寺にその古抄本が伝わる。
→関連項目気功

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デジタル大辞泉「黄帝内経」の解説

こうていだいけい〔クワウテイダイケイ〕【黄帝内経】

中国の古典医学書。戦国時代から秦・漢にかけて、医学文献を集大成したものとされる。現存本は「素問そもん」「霊枢れいすう」に分けられ、黄帝と岐伯きはく雷公らいこうらとの問答形式で、生理・病理・診断法・治療法を述べたもの。こうていないきょう。

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世界大百科事典 第2版「黄帝内経」の解説

こうていだいけい【黄帝内経 Huáng dì nèi jīng】

中国のもっとも古い医学書。18巻。《黄帝外経》とともに前漢末期(前1世紀末)に存在したと記録されているが,どちらも早い時期に失われてしまい,その正確な内容も内経と外経にどのような区別があったかも不明である。しかし,その後《黄帝内経素問》(通常《素問》と呼ばれる)と《黄帝内経太素》(《太素》),《黄帝内経霊枢》(《霊枢》)という書が出現し,《素問》と《霊枢》は医学理論の基本的な書として,唐以後,常に研究の中心になった。

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世界大百科事典内の黄帝内経の言及

【運気論】より

…運気論という名称は,人体は木,火,土,金,水の五行の運行(五運)と風,熱,湿,火,燥,寒の六気の影響を受け,その過不足によってそれぞれに対応する臓腑,経絡に変調が起こって病気になるという主張による。《素問》(《黄帝内経》)にもとづく説で,特にそのなかのいわゆる運気七編が直接のよりどころになっている。したがって,この説は唐代には存在したことになるが,流行するようになったのは宋代にはいってからで,南宋では太医局の試験課目にも指定されている。…

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