黒八丈(読み)クロハチジョウ

デジタル大辞泉 「黒八丈」の意味・読み・例文・類語

くろ‐はちじょう〔‐ハチヂヤウ〕【黒八丈】

黒色で、織り目を横に高くした絹織物半襟袖口などに用いる。初め八丈島で織ったのでこの名がある。東京都あきる野市五日市特産黒八

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精選版 日本国語大辞典 「黒八丈」の意味・読み・例文・類語

くろ‐はちじょう‥ハチヂャウ【黒八丈】

  1. 〘 名詞 〙織物一種。緯(よこいと)鉄分を含む泥土液に浸して、タンニン黒染にした織物。太い緯を織り込むから平織ではあるが、横うねが現われる。東京都あきる野市五日市の特産であった。半襟、袖口等に用いる。黒八。
    1. [初出の実例]「その身になりて見るときは、松坂織の花色裏、紫太織に黒八丈(クロハチデウ)鯨帯せし娘にも、おとる気がねは」(出典人情本春色梅児誉美(1832‐33)七)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒八丈」の意味・わかりやすい解説

黒八丈
くろはちじょう

絹織物の一種で、黒みを帯びたタンニン媒染の着尺地。黄(き)八丈などに対し、黒八丈または略して黒八という。東京都あきる野市付近から産したもので、近世末期には黒八丈の名でよばれていた。染色に際し、鉄分を含んだ泥土に浸漬(しんし)して発色させたが、のち硝酸鉄により酸化させた。袖口(そでぐち)、半衿(はんえり)に使われる。

[角山幸洋]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒八丈」の意味・わかりやすい解説

黒八丈
くろはちじょう

黒色無地の絹布。略して黒八ともいう。生糸カバノキ科の落葉高木ヤシャブシの液に入れて煮出してのち,鉄分を多く含んだ泥土にもみ込む。ヤシャブシに含まれるタンニンと泥中の鉄分が化合して純黒色に染まる。東京都あきる野市五日市付近を中心に産し,泥染と称したが,現在ではほかの機業地へ移った。主として和服の半襟,袖口や畳の縁などに使用される。

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百科事典マイペディア 「黒八丈」の意味・わかりやすい解説

黒八丈【くろはちじょう】

黒八とも。よこ畝(うね)を表した黒色の絹織物。もと武蔵五日市が主産地であったので〈五日市〉とも称する。本来は織糸をヤシャブシで染めた。染色,地質とも丈夫で丹前,はんてんなどのそで口布やかけ衿に使われた。なお黄八丈のうち黒糸が主体となったものも黒八丈という。

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