(読み)ゲイ

デジタル大辞泉 「黥」の意味・読み・例文・類語

げい【×黥】

いれずみ。また、昔、中国で、刑罰として、顔などにいれずみをすること。墨刑ぼっけい
[類語]入れ墨彫り物刺青タトゥーくりからもんもん文身ぶんしん入れ黒子ぼくろ黥首げいしゅ黥面げいめん筋彫り箚青さっせい墨刑ギミックアクセサリー刻む彫る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「黥」の意味・読み・例文・類語

げい【黥】

  1. 〘 名詞 〙 いれずみをすること。特に、古く、刑罰として顔面などにいれずみを行なうこと。また、その刑。黥罪
    1. [初出の実例]「中国で昔から行はれた肉刑の主なるものとして、黥、劓(ぎ)(はなきる)、剕(ひ)(あしきる)、宮の四つがある」(出典李陵(1943)〈中島敦〉二)
    2. [その他の文献]〔書経‐呂刑〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「黥」の読み・字形・画数・意味


20画

[字音] ゲイ
[字訓] いれずみ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は京(けい)。〔説文〕十上に「刑の面に在るなり」と黥面の意とする。文身は通過儀礼として行われることが多く、入墨処刑の意味で加えた。(罪)・(童)・妾など辛(しん)に従うものは、辛(針)で入墨を加える意である。

[訓義]
1. いれずみ。
2. 字はまたに作る。

[古辞書の訓]
立〕黥 クロシ

[語系]
黥gyang、黔gymは声義が近い。〔説文〕に「黔は黎(れい)なり」とあり、黎もまた黒色をいう。

[熟語]
・黥罪黥首黥徒黥文黥辟・黥面
[下接語]
印黥・刑黥・墨黥

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【入墨∥刺青】より

…皮膚に鋭利な道具で傷をつけ,そこに色料をすり込むかまたは注入することにより文様を浮かび上がらせるもの。文身(ぶんしん),刺青(しせい),黥(げい)などともいわれる。身体装飾のうちの身体彩色の一技法としては,文様がほぼ永久的に維持される点を特徴とする。…

【刑罰】より

刑具裁判【平松 義郎】
[中国]
 《尚書》などの古典にみえる五刑の記録は,中国春秋時代以前の刑罰の状態をある程度伝えるものと考えられる。五刑とは黥(げい)(また墨(ぼく),顔面への入墨),劓(ぎ)(はなきり),刖(げつ)(また剕(ひ),あしきり),宮(きゆう)(男子は去勢,女子は幽閉),大辟(たいへき)(死刑)であり,生命刑と肉刑と称された身体刑(終身の強制労働をともなう)より成る。死刑の種類は,炮烙(ほうらく),焚(ふん)などの火刑をはじめ,烹(ほう)(かまゆで),車裂(また轘(かん)),支解(しかい)(四肢を断つ),腰斬(ようざん),磔(たく)(はりつけ),梟首(きようしゆ)(さらし首)など過酷なものも多い。…

※「黥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」