デジタル大辞泉
「刻む」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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きざ・む【刻】
- 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
- ① 切って細かくする。こまぎれにする。
- [初出の実例]「青き苔をきざみて、まき絵のかたに、此の歌を附けて奉りける」(出典:伊勢物語(10C前)七八)
- 「日本にては葉を細かに刻みて糸の如くにし、烟管につめて火を点じ、其の烟を吸ふを常とす」(出典:幼学読本(1887)〈西邨貞〉五)
- ② 物の形を彫りつける。彫って形づくる。彫刻する。
- [初出の実例]「丁蘭は木を雕(キサみ)て母と為(せ)り」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
- 「やうやう仏のみかたにきざみたてまつるあひだ」(出典:古本説話集(1130頃か)七〇)
- ③ 刻み目をつける。また、そのような形につくる。また、比喩的に、顔の表面にしわなどができる。顔に、ある表情や雰囲気をつくる。
- [初出の実例]「情(こころ)の惷
(おろか)なること船を刻(キサミ)しに同じく〈国会図書館本訓釈 刻 キサミシニ〉」(出典:日本霊異記(810‐824)中) - 「目尻に皺をきざんだ三十八歳という女の年齢が」(出典:夏の終り(1962)〈瀬戸内晴美〉)
- ④ いれずみをする。黥刑(げいけい)に処す。
- [初出の実例]「天皇瞋て。面を黥(キサミ)て鳥養部と為」(出典:日本書紀(720)雄略一一年一〇月(前田本訓))
- ⑤ 分割する。細かくわける。
- ⑥ 細かく区切るようにして、継続的に動作や状態を続ける。「時をきざむ」「年輪をきざむ」
- [初出の実例]「その僕の門を出るより、返るまで大鼓をきざみて」(出典:随筆・槐記‐享保九年(1724)八月二二日)
- 「数十年の歴史を刻み」(出典:婉という女(1960)〈大原富枝〉五)
- ⑦ 責め苦しめる。さいなむ。
- [初出の実例]「或は後世の福楽を期して、己を剋(キサミ)自を勉め」(出典:大智度論平安初期点(850頃か)一三)
- 「わが身を只今までいろいろにきざまれ」(出典:浮世草子・万の文反古(1696)五)
- ⑧ 心に深く記憶する。刻みこむ。
- [初出の実例]「今生の遺言とも心得て深く心にきざみ置かれ度候」(出典:遺言(1900)〈国木田独歩〉)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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