上ノ国(町)(読み)かみのくに

日本大百科全書(ニッポニカ) 「上ノ国(町)」の意味・わかりやすい解説

上ノ国(町)
かみのくに

北海道南西部、檜山(ひやま)振興局管内の町。渡島(おしま)半島南西部の松前(まつまえ)半島に位置し、日本海に面する。1967年(昭和42)町制施行。天ノ川(あまのかわ)が北西流して日本海に注ぐ。海沿いを国道228号が走る。古くから開けていたところで1189年(文治5)に和人が居住したと伝えられる。町域は山地が多いが、天ノ川沿いには平地も開け、水田が発達する。山地では林業が行われる。マンガンを産出する上国鉱山(じょうこくこうざん)があったが、1986年(昭和61)閉山した。日本海では漁業が行われる。国史跡花沢館跡(はなざわだてあと)、勝山館跡(かつやまだてあと)は15世紀の蠣崎(かきざき)氏の城で、花沢館はのち松前藩の始祖武田信広(のぶひろ)が継いだものである。国指定重要文化財に上国寺(じょうこくじ)本堂、旧笹浪家住宅(きゅうささなみけじゅうたく)および附属土蔵がある。面積547.71平方キロメートル、人口4306(2020)。

[瀬川秀良]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「上ノ国(町)」の意味・わかりやすい解説

上ノ国[町] (かみのくに)

北海道南西部,檜山支庁檜山郡の町。1967年町制。人口5428(2010)。江差町の南に接し,西は日本海に臨む。江差線が通る。中世にはこの町から江差にかけての一帯を上ノ国と称し,松前から箱館を下ノ国と称した。町内の中心部を流れる天ノ川流域では農業が営まれ,沿岸部には漁業集落が点在する。農業は稲作が中心であるが,ジャガイモ,ダイコンの生産量も多い。漁業は零細で,イカ,マス,スケトウダラがおもな漁獲物である。石崎川の上流にある上国(じようこく)鉱山は日本でも数少ないマンガン鉱山として知られる。15世紀に和人が蝦夷地進出の拠点として道南に築いた12の砦を十二館と総称したが,そのうち最北に位置した花沢館,松前氏400年の最初の居城となった勝山館(跡地はいずれも国の史跡),同じく中世の夷王山墳墓群(仏教式の火葬墳墓群),北海道最古で15世紀建立と伝えられる上国寺など,史跡,文化財が多い。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「上ノ国(町)」の意味・わかりやすい解説

上ノ国[町]【かみのくに】

北海道檜山郡の町。もと函館・福山地方を下ノ国,この地と北隣の江差地方を上ノ国といい,古くから開けた。大部分が山地でヒバ林がよく茂り,天ノ川沿いの低地では農業が行われ,沿岸ではイカ,ホッケが漁獲される。547.71km2。5428人(2010)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

選挙公営

国または地方公共団体が個々の候補者の選挙費用の一部または全額を負担すること。選挙に金がかかりすぎ,政治腐敗の原因になっていることや,候補者の個人的な財力によって選挙に不公平が生じないようにという目的で...

選挙公営の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android