出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道南西部、渡島半島(おしまはんとう)の南西部を占める半島。南東部の亀田(かめだ)半島と対する。東は日本海、南は津軽(つがる)海峡に臨む。渡島山地の大千軒(だいせんげん)岳、前千軒岳、袴腰(はかまごし)岳などからなり、これらの山地を刻んで天(あま)ノ川、石崎川、茂草(もぐさ)川、知内(しりうち)川、木古内(きこない)川などが流れる。沿岸は数段の海岸段丘からなり、平地は少ない。大部分が古生層、新第三紀層、安山岩で、花崗(かこう)岩も露出する。ブナやイタヤカエデの広葉樹が分布し、トドマツの南限地でもある。道内でもっとも早く開けた地で、ニシンの千石場所としても知られた。沿岸を国道228号が通り、南東部の福島町吉岡と本州龍飛(たっぴ)崎間には青函トンネル(せいかんとんねる)が完成した。海岸は松前矢越(やごし)道立自然公園に指定。
[瀬川秀良]
北海道南西部を占める渡島(おしま)半島南部のうち,西側を松前半島,東側を亀田半島という。半島の西部は日本海に面し,南部は津軽海峡を隔てて青森県津軽半島に対する。大千軒岳(1072m),前千軒岳(1056m)を主峰とする険しい渡島山地が海岸まで迫り,平地に乏しい。これらの山地を削って天ノ川,石崎川,知内(しりうち)川などの小河川が流れる。沿岸部には漁業集落が点在し,江戸時代から大正期までニシン漁が盛んに行われたが,現在は零細な沿岸漁業が行われるものの,恒常的な出稼ぎ地帯になっている。半島の先端部一帯はブナ林やトドマツの南限地で,海岸線と岩礁の景観の美しさで知られ,松前矢越道立自然公園に指定されている。半島南端の福島町吉岡と対岸の津軽半島竜飛(たつぴ)崎とを連結する青函トンネルが完成し,1988年開業した。
執筆者:奥平 忠志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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