苦肉の策(読み)クニクノサク

デジタル大辞泉 「苦肉の策」の意味・読み・例文・類語

苦肉くにくさく

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て苦肉はかりごと。「苦肉の策を講じる」

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精選版 日本国語大辞典 「苦肉の策」の意味・読み・例文・類語

くにく【苦肉】 の 策(さく)

  1. くにく(苦肉)の謀(はかりごと)
    1. [初出の実例]「ある時は親友をも、あやめるくらいの苦肉の策を講じなくては、とても大業は成就しないぞ」(出典:同志の人々(1923)〈山本有三〉一幕)

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故事成語を知る辞典 「苦肉の策」の解説

苦肉の策

敵をあざむくために、自分の肉体を痛めつけて行うはかりごと。転じて、苦しまぎれに考え出した方策

[使用例] 島原祇園の花見の宴も、苦肉の計に耽っている彼には、苦しかったのに相違ない[芥川龍之介*或日の大石内蔵助|1917]

[使用例] 若い息子にどうしても貫禄をつけなければならない苦肉の策としては悪いやり方ではなかった[有吉佐和子*助左衛門四代記|1963]

[由来] 「三国志演義―四六~四九」で語られる話から。後漢王朝も滅亡寸前となった三世紀の初め、中国北部を支配下に収めた曹操そうそうという武将は、南方へと軍を進めました。迎え撃つのは、そんけんりゅう連合軍。有名な「せきへきの戦い」です。このとき、孫権軍の将軍、しゅうは、ささいなことでこうがいという武将に腹を立て、まわりが止めるのも顧みず、棒打ち一〇〇回という理不尽な刑罰を与えました。これを恨みに思った黄蓋は、ひそかに曹操軍に寝返りの申し入れをします。そこで曹操軍が、夜、寝返ってくる黄蓋の船を迎え入れたところ、実は、これは周瑜作戦。黄蓋は突然、火を放って曹操軍の船を焼き払い、孫権・劉備の連合軍は大勝利を得たのでした。この作戦を、「三国志演義」の原文では「苦肉の計」と呼んでいます。

[解説] ❶本来はこんなにも複雑な作戦だったとは! いかにも「三国志演義」らしい、虚々実々の駆け引きがおもしろい一節です。❷ただ、敵をあざむかなくてはならないのは、自分たちが苦境に置かれているからこそ。そのあたりから、「苦しまぎれ」という意味が生じてきたものと思われます。

〔異形〕苦肉の計/苦肉のはかりごと反間苦肉の計。

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