大阪取引所(読み)オオサカトリヒキジョ

デジタル大辞泉 「大阪取引所」の意味・読み・例文・類語

おおさか‐とりひきじょ〔おほさか‐〕【大阪取引所】

大阪市中央区北浜にあるデリバティブ専門の金融商品取引所。旧商号は「大阪証券取引所」。令和2年(2020)7月、東京商品取引所から貴金属・ゴム農産物市場の一部商品が移管され、総合取引所となる予定。OSE(Osaka Exchange)。
[補説]明治11年(1878)大阪株式取引所として創設。第二次大戦後証券会員制法人の大阪証券取引所として再開。昭和62年(1987)日本で初めて株式先物取引市場を開設。平成13年(2001)株式会社に移行。平成25年(2013)に東京証券取引所グループと経営統合し、日本取引所グループを発足。現物市場(大証一部・二部)は東証へ移行。平成26年(2014)3月、東証のデリバティブ市場を統合し、現商号に変更。

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共同通信ニュース用語解説 「大阪取引所」の解説

大阪取引所

1878年に大阪株式取引所として創立した。戦後は大阪証券取引所として事業を行っていたが、東京証券取引所との経営統合後、現物株式の取引を東証に移管。名称を大阪取引所に変更し、先物などデリバティブ(金融派生商品)を専門に扱っている。2020年の取引高(東京商品取引所を含む)は前年比25・8%増の4億5424万単位。新型コロナウイルス禍を背景リスクを回避しようとする取引が活発で、過去最高となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大阪取引所」の意味・わかりやすい解説

大阪取引所(株)
おおさかとりひきじょ

株・債券先物(さきもの)などのデリバティブ(金融派生商品)と、貴金属・工業品・農産物などの商品先物を一括して扱う日本初の総合取引所。または、その運営株式会社をさす。英語名称はOsaka Exchange, Inc.で、略称OSE。前身は1949年(昭和24)発足の大阪証券取引所。2013年(平成25)、東京証券取引所(東証)と大阪証券取引所(大証)が経営統合して発足した日本取引所グループ(JPX)傘下の取引所となった。2014年に東証の先物やオプションなどのデリバティブ取引をすべて大阪取引所が受け入れてデリバティブ特化市場となり、2020年(令和2)7月には、JPX傘下に入った東京商品取引所の金、ゴム、トウモロコシなどの商品先物取引も受け入れ、総合取引所の形を整えた。当初から総合取引所構想をもっていたため、2014年に証券の文字を名称から外して現名称となった。おもな取引商品は、株価指数先物では日経平均株価(日経225)、東証株価指数TOPIX(トピックス))、東証REIT(リート)(不動産投資信託)指数、ダウ・ジョーンズ工業平均株価(NYダウ)、FTSE中国50先物、台湾加権指数先物などがあり、日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)先物なども扱う。国債先物では中期、長期、超長期など、商品先物では金、銀、白金、パラジウム、ゴム、トウモロコシ、大豆、小豆(あずき)など、オプションでは日経225、TOPIX、長期国債先物、有価証券、金先物などがある。本社は大阪市中央区北浜。2020年3月末時点で資本金は47億2300万円、従業員は142人。2019年のデリバティブ売買高(東京商品取引所分も加算)は3億6000万単位と世界17位で、インドのナショナル証券取引所(59億6000万単位)、アメリカのCMEグループ(48億3000万単位)、ブラジルのB3(38億8000万単位)をはじめ、韓国取引所(15億5000万単位)やロシアのモスクワ取引所(14億6000万単位)の売買高にも及ばない。なお、2014年に旧大証の現物株式(大証第一部、第二部、JASDAQ(ジャスダック)市場)取引を東証へ移管したため、現物株を扱う日本の取引所は東京、名古屋、福岡、札幌の4取引所となった。

 もともと大阪は、江戸時代の享保(きょうほう)年間(1716~1736)に堂島米会所(どうじまこめかいしょ)で世界最初のコメ先物取引を行ったことで知られる。明治維新後、株式取引所条例に基づき、1878年(明治11)に大阪株式取引所として発足し、第二次世界大戦後一時閉鎖したが、1949年に大阪証券取引所として株式取引を再開した。しかし企業やビジネスの東京集中が進み、現物株取引で東証に差をつけられると、1987年に日本初の株式先物市場を創設し、1988年には日経225先物、1989年(平成1)には日経225オプションの取引を始めた。2000年(平成12)に日本初の新興市場であるナスダック・ジャパン(現、JASDAQ)を開設し、2001年に京都証券取引所と合併、2011年にはシカゴ・マーカンタイル取引所と提携した。東証との違いを出しながら生き残り戦略を進めたが、世界の激しい取引所間競争に生き残るには、取引高速化やシステム障害防止のために巨額投資が必要になり、東証との経営統合や総合取引所戦略をとることになった。

[矢野 武 2020年12月11日]


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