株式や上場投資信託(ETF)、株価指数先物から貴金属、農産物などの商品先物まで幅広く扱う取引所。多様な投資対象を取りそろえる動きが海外の取引所で先行する中、日本では2007年に成長戦略の一環として構想が浮上した。投資対象ごとに管轄する省庁が異なる「縦割り行政」が障害となっていたが、商品先物取引の低迷を背景に、昨年から構想が具体化に動き始めた。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
証券、金融派生商品(デリバティブ)、商品先物(さきもの)を一括して取り扱う取引所。株式や債券などの証券、先物やオプションなどの金融派生商品、金や原油、電力、レアメタルなどの工業品、小麦やトウモロコシ、コーヒーなどの農産物、二酸化炭素排出権などの売買を幅広く扱う市場をさす。投資家や利用者が一つの口座で証券や金融派生商品、商品先物などを機動的に売買(取引)でき、税制上の損益通算も可能で、利便性が向上する。投資勧誘などに関する規制も容易になり、取引所にとっても、取引システムや清算システムを共通化でき、設備投資コストを節減できる利点がある。また、取引所の総合化には、企業に資金調達しやすい場(取引所)を提供し、個人や企業の資金を投資を通じて成長分野へ供給するとともに、世界の取引所間競争に打ち勝つねらいもある。このため世界トップクラスの欧米の取引所は総合取引所が主流となっている。
日本では、第一次安倍晋三(あべしんぞう)内閣が2007年(平成19)に策定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に初めて総合取引所の創設構想を盛り込んだ。金融商品取引法をたびたび改正し、2009年に証券取引所と商品取引所のグループ化、2012年に総合取引所の創設を可能とした。2013年に東京証券取引所と旧大阪証券取引所(現、大阪取引所)が統合して日本取引所グループ(JPX)が誕生し、2019年(令和1)に工業品や農産物の先物を扱う東京商品取引所がJPXの傘下に入った。2020年には、東京商品取引所の工業品や農産物を大阪取引所へ移管し、大阪取引所は日本初の総合取引所となった。ただ金融庁(株式や金利などの金融商品)、経済産業省(工業品)、農水省(農産物)の縦割り行政の弊害から、原油や電力先物などのエネルギー関連は東京商品取引所に残ったままのうえ、金利や外国為替(かわせ)関連は東京金融取引所、コメ先物は大阪堂島(どうじま)商品取引所という別々の取引所が扱っており、投資家が一つの口座を通じてすべての投資商品に機動的に投資できる環境は実現していない。
[矢野 武 2020年12月11日]
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