GPIF(読み)ジーピーアイエフ(英語表記)Government Pension Investment Fund

デジタル大辞泉 「GPIF」の意味・読み・例文・類語

ジー‐ピー‐アイ‐エフ【GPIF】[Government Pension Investment Fund]

Government Pension Investment Fund》⇒年金積立金管理運用独立行政法人

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共同通信ニュース用語解説 「GPIF」の解説

GPIF

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 厚生年金国民年金の保険料収入の余った分を積立金として管理し、市場に投資して運用する。厚生労働省所管前身年金資金運用基金を衣替えして2006年に設立された。少子高齢化の影響で保険料を払う現役世代が減少することに備え、長期的な運用で将来の年金給付を確保している。17年10月、理事長への権限集中を避けるため、資産構成割合などの重要事項について意思決定したり、執行部の業務を監督したりする経営委員会が設置された。

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知恵蔵 「GPIF」の解説

GPIF

日本において厚生年金と国民年金の年金積立金を管理・運用する機関。厚生労働省が所管する独立行政法人で、年金給付の財源として年金運用で得た収益国庫に納めている。2006年に設立され、13年度末の収益率は8.64%、収益額は10兆2207億円、運用資産額は126兆5771億円となっている。運用資産では、同様の業務を行うノルウェー政府年金基金(約6千億ドル)の2倍以上、世界最大の投資ファンドと呼ばれるアブダビ投資庁(約9千億ドル)をもはるかに上回る規模である。国民年金は1961年に開始され、日本の国民皆年金制度が実現した。同年、厚生省(当時)を主管とする年金福祉事業団がつくられ、公的年金の積立基金運用をはかることとなった。運用された基金は財政投融資や住宅資金貸付の原資となると共に、グリーンピアなど大規模な年金保養施設を設置した。ところが、借入金の利払いを上回る運用収益を上げるどころか、事業運営に大幅な赤字を出すなどにより、財務状況は悪化していった。2001年に特殊法人改革のための法律改正により年金福祉事業団が廃止され、厚生労働省が指導・監督する年金資金運用基金が設立。06年には年金積立金運用の改革のため、専門性を徹底し責任を明確化するものとして、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に改組された。これらにより、グリーンピアや住宅融資などの業務は廃止され、GPIFが独自に検討して投資割合などを決定できるようになった。
年金積立金は、長期にわたって資産を保有し安定的に運用することが求められる。このためGPIFでは、どの資産にどの程度配分するかという「資産構成割合(基本ポートフォリオ)」を基に積立金を運用する。GPIFはこの割合について、安倍政権が狙う株価上昇に同調するかのように、13年6月には国内債券を7%引き下げて60%とし、国内株式、外国債券、外国株式を数%ずつ引き上げている。更に14年6月24日に閣議決定した成長戦略では、年金積立金の運用を早期に見直す方針が盛り込まれ、秋には国内外株式などのリスク資産を増やすという。GPIFが保有する国内株式は、東証1部上場株式の時価総額(5月末)の約5%に相当し、わずか1%の国内株式増加でも、市場には1兆円を超える資金が流れ込むため、市場に与える影響は大きい。そのため、野党などからは「株価対策だ」との批判があり、年金運用に政治が関わることを懸念する声もある。また、実態は株価対策で政府の市場介入であり、リスクは大きく運用損が出ても誰も責任を取らない仕組みだと指摘する識者もある。

(金谷俊秀  ライター / 2014年)

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百科事典マイペディア 「GPIF」の意味・わかりやすい解説

GPIF【ジーピーアイエフ】

年金積立金管理運用独立行政法人Government Pension Investment Fundの略称。年金基金のなかでは世界最大の資産額を持つ。公的年金の積立金運用を担ってきた年金福祉事業団が財政投融資に預託して行っていたが,2001年3月特殊法人改革で同事業団が廃止され,国が年金資金の自主運用を求められた。2001年同事業団は年金資金運用基金へ改組,2006年4月年金積立金管理運用独立行政法人が設立され年金資金運用基金から年金積立金の管理・運用業務を引き継いだ。世界有数の機関投資家であるGPIFの動向が注目されているのは,2013年のアベノミクス金融緩和で円安と同時に株高に転じた株価が,2013年後半に世界的な株安の影響もあって下落傾向に転じ,2014年には,アベノミクスの3本目の矢とされた〈成長戦略〉が不発に終わる可能性が出てきて株価は低迷しているためである。GPIFが日本株を買い増すことで株価が上昇するのではないかという期待感が証券業界・金融業界から出てきている。政府や首相周辺からGPIF関連のニュースが出ることで内外の投資家の思惑から株価が急上昇したケースもある。規制緩和策も中途半端な状態に留まっており,法人税減税やTPPの見通しも不透明なため,投資家が政府所管のGPIFによる株買い増しを期待するという状況である。安倍政権も株価上昇を重要視しており,GPIFがその方向に舵を切る可能性もある。GPIFが株や外貨建て資産の投資を増やすこと自体はきわめて正当だが,他方GPIFは日本国債などの低リスクの資産に偏重していると批判されているのも事実である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「GPIF」の意味・わかりやすい解説

GPIF
じーぴーあいえふ

年金積立金管理運用独立行政法人

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