ASW(読み)エーエスダブリュー(英語表記)anti-submarine warfare

デジタル大辞泉 「ASW」の意味・読み・例文・類語

エー‐エス‐ダブリュー【ASW】[anti-submarine weapon]

anti-submarine weapon》対潜水艦兵器。爆雷魚雷対潜ミサイルなど。

エー‐エス‐ダブリュー【ASW】[anti-submarine warfare]

anti-submarine warfare対潜水艦戦

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ASW」の意味・わかりやすい解説

ASW
えーえすだぶりゅー
anti-submarine warfare

対潜水艦戦のこと。20世紀の戦争のなかで潜水艦が実戦力化し水中が戦闘の場となったことにより、海軍戦術の一分野として確立した。とくに世紀後半、東西冷戦期の海軍にあっては、弾道ミサイルを搭載した原子力潜水艦による海中からの核抑止任務が、最重要なものに位置づけられた。その理由は、原子力機関による推進力と造艦技術の向上の結果、潜水艦が長期間、深深度潜航で行動できるようになったこと、および米ソ両国が戦略核戦力の大きな部分を潜水艦搭載の戦略弾道ミサイル(SLBM)に割り当て、海洋を相手国へ向けた核の発射場としていたことによる。戦略ミサイル潜水艦(SSBN)を保有するアメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国を先頭に世界の海軍は、水面下の敵との戦いに優位を得ることを第一の目的としてASWを重視した。

 ASWは敵潜水艦の脅威を排除するための一連の作戦、捜索、探知、攻撃、撃破のすべてを含んでおり、これらの活動に従事する潜水艦および支援の水上艦艇、航空機によって戦力が構成される。潜水艦の攻撃能力が飛躍的に向上したのに対し、対抗する側に決め手となる兵器がないため、必然的にASWはいくつかの兵器を組み合わせて、その短所、長所を補い合いながら遂行される。捜索は、潜水艦が浮上中であればレーダーなどで発見できるが、原子力潜水艦は例外的にしか浮上航行しないので、
(1)潜航中の潜水艦が発するエンジン音、スクリュー音を高性能マイクロホンで探知する(パッシブソナーによる捜索――水上艦、潜水艦から)、
(2)音波・超音波を発射し反響音によって目標をとらえる(アクティブソナーによる捜索――水上艦、潜水艦から)、
(3)潜水艦の船体が地球の磁場に変化をおこす現象を利用する(磁気探知器による捜索――航空機から)、
などの方法で敵艦の方位、距離、速度を割り出し、包囲網を形成する。攻撃兵器は魚雷と爆雷が一般的で、近年は自動追尾魚雷(ホーミング魚雷)が多用される傾向にある。原子力潜水艦の高速力に対応するため、水上艦艇に積まれた魚雷は、ロケット式発射機などで撃ち出され、音速以上で約10キロメートル飛翔(ひしょう)したのち海中に入って自動追尾する仕組みになっている。先端に核弾頭を装着できるものもある。以上のような戦術的ASWとは別に、より総合的に対潜戦をとらえる戦略ASWがある。これはASWを国家安全保障のなかに位置づけたもので、自国周辺の広大な海域を対象としてSOSUS(音響監視システム)を張り巡らせたり、同盟国との共同作戦による船団護衛、重要海峡の封鎖などが含まれる。冷戦期にアメリカ本土周辺やグリーンランド―アイスランド―イギリス(GIUK)間に設置されたSOSUSは戦略ASWの一例である。冷戦終結後、米ソ(ロ)間のASWシフトは緩められたが、一方で米中による水中のせめぎ合いが強化される流れにあり、また新興国が高性能潜水艦を輸入、配備する動きもあって、ASWは浅海域と東シナ海からインド洋の沿岸部に向かう傾向にある。

[前田哲男]

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農林水産関係用語集 「ASW」の解説

ASW

Australian Standard Whiteの略。オーストラリア産のいくつかの品種をブレンドした小麦で、主に日本めん用に使用される中力粉の原料に適している。

出典 農林水産省農林水産関係用語集について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ASW」の意味・わかりやすい解説

ASW
エーエスダブリュ

対潜潜水艦」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のASWの言及

【潜水艦】より

… 潜水艦の技術発展は後述の対潜水艦戦技術の発展に対応しており,敵に発見されず,もし発見されても攻撃を回避できるよう,水面上にできるだけ物体を露出せず,水面下を深く高速で運動し,かつできるだけ音を放射しないよう技術的改良が現在も続けられている。【坂元 直家】
【対潜水艦戦】
 英語でanti‐submarine warfareといい,ASWと略す。敵潜水艦の活躍を封ずるための諸活動をいい,その中心は,潜水艦を捜索,発見し,攻撃する戦闘にある。…

※「ASW」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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