音響兵器(読み)オンキョウヘイキ

デジタル大辞泉 「音響兵器」の意味・読み・例文・類語

おんきょう‐へいき〔オンキヤウ‐〕【音響兵器】

音波性質を利用した兵器総称電波を通しにくい海中において、対象物の探知に用いられるアクティブソナーパッシブソナー、音の発生源を追尾する音響ホーミング魚雷、音を感知して爆発する音響機雷などがある。また対人向けの非殺傷兵器として、指向性の高い大きな音を発し、一時的に人の判断能力や行動力を奪う長距離音響発生装置がある。

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精選版 日本国語大辞典 「音響兵器」の意味・読み・例文・類語

おんきょう‐へいきオンキャウ‥【音響兵器】

  1. 〘 名詞 〙 音波の性質を利用した兵器の総称。水中聴音機、音響信管、音響追尾装置、音波妨害装置など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「音響兵器」の意味・わかりやすい解説

音響兵器
おんきょうへいき

音波の伝導と反響特性を利用した兵器。とくに海中は電波を通しにくいので、ASW対潜水艦戦)が重要さを増すにつれて、音響兵器の性能が捜索・探知用としての決定的要素となった。大別して次の2種類がある。

(1)発振器によって自ら音波・超音波を発射し、目標からの反響音を得て、距離、方位をつかむ方法(アクティブソナー)。

(2)目標物が放射する音波を受ける方式(パッシブソナー)。

 (1)はおもに水上艦艇で用いられ、(2)は自艦の所在を知られたくない潜水艦や、海峡などに設置される監視システムに使われる。

 音波は電波とは異なり潮流、塩分濃度、海底の形状などの影響を受けるので、捜索能力は季節と海域と水層により均一でない。そこで送受波器を任意の深度まで降ろせるVDS(可変深度ソナー)が開発された。また魚雷や機雷の感応装置としても利用され、自動追尾魚雷の頭部には音響追跡装置が組み込まれている。

前田哲男

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「音響兵器」の意味・わかりやすい解説

音響兵器
おんきょうへいき
acoustic weapon and equipment

音響を利用する兵器または装置。航空機が低速であった時代には,対空用として空中聴音器が使用されたが,超音速機の出現した現在では使用されない。今日では水中地中での探知,通信装置およびそれらを利用した魚雷,機雷などが実用化されている。通信装置としては,近距離の水中通信に利用され,探知装置としては,ソーナーとして,目標の音源を探知するパッシブ・ソーナー,みずから音波を発射して目標からの反響音を測定するアクティブ・ソーナーがある。またこれらの装置を利用して目標に命中しようとする音響ホーミング魚雷,艦船の推進器音に感応して起爆する音響機雷などがある。音波の水中における伝播は複雑で,電波伝播のように明確ではないので,音響兵器の性能も不安定である。しかし電波は水中,特に海中で減衰がはなはだしく,磁気はきわめて近距離に影響を及ぼすにすぎないので,音響兵器は水中における主要な兵器となっている。陸上でも地中またはジャングル内などで奇襲防止のため警戒装置として利用される場合がある。

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百科事典マイペディア 「音響兵器」の意味・わかりやすい解説

音響兵器【おんきょうへいき】

空中・水中における音波の特性を利用した軍用器材の総称。空中用では聴音機があったが今日では使われず,水中用器材が潜水艦戦,対潜水艦戦で発達した。ソナーソノブイ水中聴音機などがある。→対潜哨戒機対潜兵器

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