日本大百科全書(ニッポニカ) 「知的障害者福祉法」の意味・わかりやすい解説
知的障害者福祉法
ちてきしょうがいしゃふくしほう
知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、知的障害者援助・保護を図る法律。昭和35年法律第37号。1998年(平成10)従来の精神薄弱者福祉法から名称変更された。自立への努力とその機会の確保が基本理念とされ、国・地方公共団体は、この理念が実現されるように配慮して、国民の理解を深めるとともに、知的障害者の自立と、その更生援護に努力しなければならない。この法律に定める更生援護はその居住地の市町村が行うのが原則である。都道府県は、原則としては市町村の更生援護の実施に関し、市町村相互間の連絡および調整などを行う。また、都道府県は知的障害者更生相談所を設置し、市町村相互の連絡調整、専門的な相談のほか、18歳以上の知的障害者の医学的、心理的、および職能的判定を行う。さらに、市町村は、障害者自立支援法に定める障害福祉サービスを必要とする知的障害者が、介護給付費等の支給を受けることが著しく困難なときは、障害福祉サービスを提供する。また、介護給付費等の支給を受けることが著しく困難な18歳以上の知的障害者については、施設入所の措置をとる。なお、18歳未満の知的障害児の収容施設は、児童福祉法の定める児童福祉施設である。
[阿部泰隆]