盛岡市(読み)モリオカシ

デジタル大辞泉 「盛岡市」の意味・読み・例文・類語

もりおか‐し〔もりをか‐〕【盛岡市】

盛岡

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日本歴史地名大系 「盛岡市」の解説

盛岡市
もりおかし

面積:三九八・七二平方キロ

県の内陸部のほぼ中央、北上盆地の北端に位置する。市域を南流する北上川に、西流する中津なかつ川と東流する雫石しずくいし川が合流し、三川が形成する沖積地からなる。東は下閉伊しもへい岩泉いわいずみ町・川井かわい村、西は岩手郡滝沢たきざわ村・雫石町、北は同郡玉山たまやま村、南は紫波しわ都南となん村・紫波町、稗貫ひえぬき大迫おおはさま町に接する。南北に国道四号(旧奥州街道)が通り、当市を起点に三陸海岸に至る国道一〇六号(旧閉伊街道)・同三九六号(旧遠野街道)・主要地方道盛岡―岩泉線(旧小本街道・野田街道)、秋田へ至る国道四六号(旧秋田街道)、秋田県鹿角かづのに至る同二八二号(旧鹿角街道)などが通じ、市域西部を東北自動車道が縦貫する。同道に沿って東北新幹線・東北本線も走り、盛岡駅東側の市街を中心に周辺地域は急速に変貌しつつある。盛岡の古名は不来方こずかたと称したが、近世初頭の盛岡築城に際し、盛岡藩二代藩主南部利直が不来方の用字を嫌い森ヶ岡と改称。いつの頃からか森岡となり、四代藩主重信の代の元禄四年(一六九一)に盛岡と改められたと伝えられ、のち現市名となる。かつては杜陵とりよう(モリオカの意)とも称したという。

〔原始・古代〕

市域は前記三川の合流点にあたり、やな川を加えた主要四河川とその支流によって河岸段丘の高位段丘から低位段丘および沖積地が形成され、生活面として利用されてきた。現在の盛岡駅から盛岡城跡を経て盛岡八幡宮にかけての一帯は、江戸時代初頭まで谷地であった。北上川沿いには縄文早期・中期の大集落である大館おおだて遺跡群が広く占地しているのみ。中津川沿いの遺跡は米内よない大葛おおくず浅岸あさぎし山岸やまぎし地区の段丘面に数多く存在するが、未調査のものが多く、詳細は不明。米内地区からは縄文中期の大木式・円筒式の遺物が、大葛地区の大葛遺跡からは縄文後期の石囲炉が出土。山岸地区の永福寺山えいふくじやま遺跡からは古墳時代の古式土師器が発見され、県内最古の土師器として注目される。

雫石川流域は御所ごしよダムと東北自動車道の建設に伴って発掘調査が行われ、市内で最も実態が明らかになっている。上流の御所湖周辺には縄文早期貝殻文土器片を出土した下猿田しもさるた遺跡群、縄文前・中期の遺構・遺物、とくに大型住居跡・複式炉・フラスコピット、底部に孔をもつ甕棺を出土したつなぎ遺跡群、縄文後・晩期の住居跡・配石墓・川漁の・木器・大型土偶顔面を出土した萪内しだない遺跡がある。下流では太田蝦夷森おおたえぞもり古墳群に代表されるように河岸沖積地に奈良・平安時代の遺構・遺物が発見され、奥羽山脈支脈低位山地に縄文前・中期の猪去館いさりだて遺跡がある。


盛岡市
もりおかし

2006年1月10日:盛岡市が岩手郡玉山村を編入
【盛岡市】[変更地名]岩手県
【玉山村】岩手県:岩手郡


盛岡市
もりおかし

1992年4月1日:盛岡市が紫波郡都南村を編入
【都南村】岩手県:紫波郡
【盛岡市】岩手県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「盛岡市」の意味・わかりやすい解説

盛岡〔市〕
もりおか

岩手県のほぼ中央にある中核市。岩手県の政治,経済,文化の中心地で県庁所在地。市の中心部は北上川雫石川,中津川の合流点に位置し,水と緑に恵まれる。市域北東部は北上高地中部の山地。1889年市制。1928年米内村,1940年厨川村,1941年中野村,浅岸村,本宮村の 3村,1955年簗川村,太田村と玉山村,滝沢村の一部,1992年都南村,2006年玉山村をそれぞれ編入。市名は城名に由来する。寛永10(1633)年盛岡城が築かれて以来,盛岡藩の城下町として繁栄。明治4(1871)年県庁が置かれ,県政の中心となった。市街地は北上川と中津川の段丘上にあり,旧盛岡藩の重臣の屋敷があった内丸は県庁,裁判所,市役所などの官庁街となり,JR盛岡駅前,大通り,中ノ橋通りは中心商店街を形成。岩手大学,岩手医科大学などがある。伝統の南部鉄器のほか,機械,繊維,紙,食品などの工場がある。稲作,リンゴの栽培など,北部では酪農,畜産も行なわれる。東北自動車道や東北新幹線の開通,商業卸センターを含む岩手流通センターの建設によって東北地方北部の流通,観光,学術の拠点都市を形成している。北東部の外山高原早坂高原周辺が外山早坂高原県立自然公園に指定されるほか,三陸復興国立公園十和田八幡平国立公園の観光中継地。市内には岩手銀行(旧盛岡銀行)旧本店本館など国の重要文化財に指定される建造物が多数存在するほか,盛岡城跡,志波城跡(ともに国の史跡),原敬記念館,五百羅漢群像を安置する報恩寺などがある。国の天然記念物に盛岡石割ザクラ,竜谷寺のモリオカシダレのほか,大ヶ生(おおがゆう)の竜源寺,肴町(さかなちょう),門(かど)の 3ヵ所のシダレカツラがある。永井の大念仏剣舞(だいねんぶつけんばい)は国指定重要無形民俗文化財。北西部の渋民石川啄木の出身地として知られ,石川啄木記念館がある。JR東北本線が盛岡で田沢湖線(秋田新幹線)と山田線に分岐。盛岡からは IGRいわて銀河鉄道となり,好摩(こうま)で JR花輪線が分岐している。国道4号線,46号線,106号線,396号線,455号線などが通り,東北自動車の盛岡,盛岡南インターチェンジがある。面積 886.47km2。人口 28万9731(2020)。

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