〈物の生産またはサービスの提供が事業として行われている個々の場所〉をいう。一般に,事業所は商店,工場,事務所,営業所,銀行,支店,学校,寺院,病院,旅館,製錬所,鉱山,発電所などと呼ばれている。会社あるいは企業が資本の活動単位を意味するのに対し,事業所は経済的活動を行う場所的単位あるいは技術的単位を意味する。企業や会社は,単一または複数の事業所で構成されている。
この事業所を対象に事業所統計調査が3年ごとに実施されている(〈企業統計〉の項参照)。この調査は,日本の事業所のマクロの実態と動向を分析するために,全国の事業所の種類や従業者数などを調査し,事業所の分布や産業別・規模別の構成を明らかにすることを目的としている。それは,国や地方自治体の各種行政施策の企画・立案に役立てるとともに,各種統計調査の母集団やその他の基礎資料として利用されている。具体的には,第1に,産業構造の分析として従業者の分布の面から,第1次,第2次,第3次産業の相対的分布,およびそれぞれの内部構造の分析に利用される。第2に,従業者の個人組織から法人組織への移行の面,また規模別企業数の推移の面から,経営組織の近代化や規模の経済性を分析するのに利用される。第3に,地域間の人口移動としての人口吸収的な事業所の増加と,人口移動に伴う商業,サービス業等の事業所の増加,また本社等の管理機能が都市に集中するというような産業の地域構造を分析するために,事業所と企業の地域分布の統計が利用される。
→会社 →企業
執筆者:二宮 豊志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…職場,事業所,企業,産業,全国といった各レベルの種々な意思決定や諸活動に対し,労働者またはその代表組織が伝統的に存在していた範域を超えて,より直接的に関与する傾向が生じたことは,1970年以降の先進的資本主義社会の労使関係システムにおいて顕著に目立つ新しい変化である。それらのうち産業レベル,全国レベルなどセミ・マクロおよびマクロレベルでの労働者参加は,とくに欧米の産業社会の場合,第2次大戦後は産業別組合や全国組合の組織が相当強大に発達していたこと,およびポリティカル・エコノミーの枠組みが混合経済的ないし福祉国家的な性格をかなりに強めたことから,比較的初期から相当に進行していた。…
…分類項目を設けるうえで重要な原則は,第1に,この分類が職業別ないしは商品別分類ではなく,産業別分類であること,第2に,どこの国にも存在すると思われる産業の構成を基礎としていて,作業の技術,原材料の性質,生産品の用途とか単一の原則によるものでないこと,第3には,所有権のいかんにかかわらず,各産業についての分類であることである。したがって政府が運営する事業所もその産業の性格によって分類されている。さらに産業分類を理解するうえで重要な分類基準は次のとおりである。…
※「事業所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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