国債、地方債、政府保証債からなる公共債(公債)と、企業の発行する事業債(社債)および債券発行金融機関が発行する金融債からなる民間債といった債券の総称である。また、公社債を取引する市場を全般的に公社債市場とよぶ。
同じ証券でも、株式が投資者の拠出した資金に返済義務を負わないのに対して、債券の場合、発行体は返済義務を負う。また、株式の場合は利益の多寡により配当の金額は変化するが、利付債の場合には発行体の利益の有無などにはかかわりなく一定期間ごとに利子の支払いが必要である。一方、株式には株式の数に応じた議決権があるうえ、企業の清算時に優先的に弁済を受けることができるが、社債にはそうした権利はない。さらに、債務という点では借入金と公社債は同じであるが、借入金は金融機関に代表される特定の者から資金調達するのに対して、公社債においては公募債であれば不特定多数の者から資金調達することになる。そして、転売が容易な点も公社債の特徴といえるであろう。
公社債は、税法上の区分として、特定公社債と一般公社債に分けることができる。特定公社債とは、国債、地方債、日本以外の国が発行した国債や連邦債、海外の地方公共団体の発行した地方債、公募公社債、上場公社債などが含まれる。一般公社債は、私募債など特定公社債以外の公社債を意味する。ただし、特定公社債と一般公社債の区分は2016年(平成28)から始まったもので、2015年12月までに発行された公社債は、同族会社が発行した社債を除きすべて特定公社債に該当する。
公社債の利子に対する課税は、特定公社債の利子については申告分離課税の対象となり(源泉徴収のみで完結させて、申告不要を選択することも可能)、申告分離課税を選択すれば、上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除を行うことができる。一方、一般公社債の利子については源泉分離課税の対象となり、損益通算などはできない。なお、同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の同族株主等が支払いを受けるものは、総合課税の対象となる。
[浅羽隆史 2018年8月21日]
『公社債市場研究会編『戦後公社債市場の歴史を語る』(2011・日本証券経済研究所)』
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