日本大百科全書(ニッポニカ) 「自動車関係諸税」の意味・わかりやすい解説
自動車関係諸税
じどうしゃかんけいしょぜい
自動車に関する税金の総称で、主として自動車のユーザーに対して課税される税をさす。広義には、自動車関係諸税に譲与税(自動車重量譲与税など)や消費税を含めることもある。
自動車関係諸税は、自動車の取得、保有、走行の三つの段階に従って分類されることが多い。取得段階の課税では自動車取得税、保有段階の課税では自動車重量税、自動車税、軽自動車税、走行段階では揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税、石油ガス税などがある。ただし、これらの税目が一つの車両すべてに課税されるのではなく、自動車税と軽自動車税、揮発油税と軽油引取税などは同一の車両に課されることはない。またそれぞれに税目には、国税、地方税の区分がある。
自動車関係諸税は安定的に税収が確保できること、自動車利用による受益と負担の関係が明確であるということから、その多くが一般道路の整備、維持、運営を目的とした道路特定財源とされ、道路整備五か年計画に基づいて計画的に財源が利用されてきた(自動車重量税は形式的には一般財源であったが、事実上の特定財源であった)。しかし、特定財源制度への批判や、その税収額が膨大であることから、財政難に陥っている国家財政への寄与も期待され、2009年度(平成21)より特定財源化されていた自動車関係諸税は一般財源化された。
自動車関係諸税の一般財源化によって、道路整備の名目で徴収されてきた自動車関係諸税の一部はその課税根拠を失うことになった。また、道路整備の充実のために本則税率よりも高く設定されていた暫定税率が、一般財源化後も本則税率に戻らないなど、自動車関係諸税に関する制度は現在多くの矛盾を抱えており、自動車関係諸税の見直しに関する議論が注目されている。また、ハイブリッド・カーや電気自動車などの普及により、自動車関係諸税のなかでも大きな割合を占めていた揮発油税の税収の伸びが懸念されるなど、自動車関係諸税は大きな問題を抱えている。
[竹内健蔵]
『杉山武彦監修、竹内健蔵・根本敏則・山内弘隆編『交通市場と社会資本の経済学』(2010・有斐閣)』