オスティナート

デジタル大辞泉 「オスティナート」の意味・読み・例文・類語

オスティナート(〈イタリア〉ostinato)

音楽で、一定音型何度も反復する技法。低声部でこれを行うバッソ‐オスティナートは、この技法の代表的なもので、「固執低音」「執拗しつよう低音」などとも訳される。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「オスティナート」の意味・わかりやすい解説

オスティナート

一定の音型を持続的に反復する作曲技法またはその音型。厳密には,同一声部で同一音高の音型が反復されるものをいう。ヨーロッパでは15世紀後半の音楽作品にその用例が目立ち始め,17世紀にパッサカリアシャコンヌなどのオスティナート形式が愛用されるようになって,バロック音楽の重要な一要素となった。古典派ロマン派時代にはやや下火になるが,20世紀に入ると,民族的語法や非西洋圏の伝統音楽のリズム構造への関心の高まりから,さまざまな形で盛んに用いられるようになった。ミニマル・ミュージックはその典型例。日本でも伊福部昭松村禎三などが,この技法を土台にすぐれた作品を残している。→バッソ・オスティナート

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オスティナート」の意味・わかりやすい解説

オスティナート
ostinato

音楽用語。ある一定の音型が,楽曲あるいは楽節全体を通じて,同じ声部において通常同じ音高で絶えず繰返されることをいう。この手法最初の使用は,13世紀のモテトなかにみられる。また同時代の『夏のカノン』の2声のバスにおけるオスティナートは有名。ルネサンスバロック舞曲にはしばしばオスティナートの手法がみられ,シャコンヌやパッサカリアの形式を生んだ。ロマン派ではあまりこの技法は用いられなかったが,20世紀には再び復活し,ヒンデミット,バルトーク,メシアンらに好まれた。ジャズ音楽においても,リフの名のもとにこの技法が用いられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オスティナート」の意味・わかりやすい解説

オスティナート
おすてぃなーと
ostinato イタリア語

音楽用語。ある一定の音型を同一声部で何度も繰り返す手法。低声部に置かれたものをとくにバッソ・オスティナート(固執低音)とよぶ。13世紀中ごろに現れたが、とりわけ16世紀中ごろから18世紀にかけて好まれた(グラウンド、シャコンヌ、パッサカリア、フォリアなど)。また、変奏曲形式と結び付いたり、ラベルの『ボレロ』のように、リズム面に応用されたりするものもある。

[関根敏子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android