鳥盤目周飾頭(しゅうしょくとう)類(亜目)厚頭竜類(下目)パキケファロサウルス科Pachycephalosauridaeに属する恐竜。北アメリカの白亜紀後期、約6805万年~6550万年前の地層から産出した全長約4メートルの草食恐竜。初めに発見されていたのは頭骨だけで骨格が不明であったが、1994年には、ばらばらの骨とはいえ、ほぼ全身骨格が発見され、現在、東京・上野の国立科学博物館に組み立てられている。属名は「厚い頭のトカゲ」という意味。頭骨の骨の厚さが25センチメートルと厚いことや、頭骨の表面に装飾が発達すること、頭頂部の周りには皮骨が発達し、尾の先端部で骨化した腱(けん)が網状に覆っていることなどがこの類の特徴である。頭突きをしたといわれてきたが、組立て骨格の頸(くび)の骨の検討結果では、頭と頸、背中を一直線に伸ばすには適していないという。また常識的にも丸いドームで頭突きをするのはむずかしく、頭の中心がそれると頸をひねったり顔に大けがをすることになるであろう。そこで、頭どうしの頭突きではなく、わき腹に頭突きをしたのではないかと考えられている。パキケファロサウルスは厚頭竜類のなかでもっとも大きい。頭骨は長さがあり、口先がやや長い。頭頂は高くドーム状に盛り上がっている。頭骨の縁を取り囲むように、鼻の上と側頭部から後頭部にかけて骨質の小突起が密集し、後頭部ではこぶ状ないし棘(とげ)状に大きくなったものがある。頭上の突起は武器というよりも、仲間うちのディスプレー用ではないかという。武器としては棒状の固い尾を使ったのであろう。普通、厚頭竜類は頭骨やその断片しか知られていない例が多い。これは、生存時に高地や乾燥地などに生息していたので、そういう場所では化石となったり保存されたりしにくいからと考えられている。この恐竜がなにを食べていたのかは不明である。小さな歯をもっていたが、カモノハシ竜や角竜(つのりゅう)類ほどは固い植物をうまくかみ砕くことはできなかったのではないかといわれ、葉や種子、果実、昆虫などを食べる雑食性であったのではないかと想像されている。
[小畠郁生]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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