翻訳|bell pepper
トウガラシのうちで、果実に辛味がない甘いトウガラシの1変種。明治時代にアメリカから導入されたイスパニア種といわれる品種がもとになり、今日までに日本人の嗜好(しこう)に適合した多くの品種が作出されて、第二次世界大戦後急速に普及した。果実は大きく、長さ5~7センチメートル、幅4センチメートルの卵形で、数条の縦溝があり、果肉は厚さ5ミリメートルほど、果内は空洞となる。多くの白い扁円(へんえん)形の種子がある。果肉は柔らかく、香りがよくて食味が優れる。品種に、カリフォルニアワンダーなどの大果のものと、やや長形で小形のものとがあるが、大果のものが普及している。
冬季も温室やハウスで栽培され、一年中供給される。宮崎、茨城、高知の3県が主産地で、ほかに岩手、長野、鹿児島県も出荷量が多い。
[星川清親]
大果のものは輪切りにしてサラダや炒(いた)め物に、また肉など詰め物をして揚げ物にする。また長形で小形のものは焼いたり、てんぷら、煮物などにするとよい。生(なま)のピーマン100グラム中にはカロチン270マイクログラムが含まれるが、油で調理するとカロチンが失われにくく、油炒め100グラム当りのカロチンは280マイクログラム、ビタミンA効力160IUである。なお、トウガラシの類にはピーマンとよく似た名称のピメントがあるが、これは日本のピーマンとは異なる品種で、アメリカにおいてとくに果肉の厚い紅色の甘いトウガラシをさす名前である。ピメントは缶詰、スタッフドオリーブ、ピメントチーズなどに加工される。
[星川清親]
トウガラシの一品種群で欧米のアマトウガラシをいう。また日本のシシトウ(シシトウガラシ)もこの群に属する。ピーマンの名はトウガラシを意味するフランス語のピマンpimentに由来する。草姿はふつうのトウガラシ(辛味種)に類似するが,葉は一般に広大で,とくに果実は大型でシシ(獅子)頭状を呈し,果肉が厚くなる。アメリカ,ヨーロッパ,ブラジル,日本に栽培が多い。トウガラシの甘味種は辛味種より北方諸国で品種が発達したといわれる。日本では江戸時代からシシ系の土着品種が栽培されており,明治に入って欧米から数種の品種が導入されたが,栽培は振るわなかった。第2次世界大戦後も二,三の欧米からの導入品種がわずかに栽培されたにすぎなかったが,昭和30年代に入り,食生活の洋風化が進行するに伴い需要が急増し,在来種の系統選抜,洋種と和種の一代雑種など数多くの新品種が発表された。主要な品種は新さきがけ,にしき,エースなどである。主産地は宮崎,茨城,高知県。ピーマンの果実は葉とともにビタミンA,Cに富み,てんぷら,油いため,肉づめなど和・洋・中華風の各料理に用いられる。
執筆者:金目 武男
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…伏見辛で代表され,外国ではカイエンCayenne(イラスト)の系統がこれに属する。var.grossum(英名bell pepper,sweet pepper)は辛みはなく,通常シシトウやピーマンの名で果菜として広く利用される。また,辛みが強い1群はタバスコ群としてまとめられることもある。…
…伏見辛で代表され,外国ではカイエンCayenne(イラスト)の系統がこれに属する。var.grossum(英名bell pepper,sweet pepper)は辛みはなく,通常シシトウやピーマンの名で果菜として広く利用される。また,辛みが強い1群はタバスコ群としてまとめられることもある。…
※「ピーマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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