屈折率の大きい媒質から小さな媒質へ向かって光が入射するとき,屈折角は入射角より大きく,ある入射角では屈折角が90度となる。このときの入射角を臨界角というが,入射角が臨界角を超えると,光は全部反射される。この現象を全反射という。水(屈折率1.33)から空気中へ出る光の臨界角は48度30分であり,ガラス(屈折率1.52)から空気の場合は41度10分。
金属鏡などで99%以上の安定な反射率を得るのは困難であるが,全反射はその反射率が100%で永続的である。二等辺直角三角形のガラス製プリズムで,等辺の一方の側面に垂直に光を入射させれば,底面に対しての入射角がガラスと空気の組合せの臨界角を超え,光は全反射される。全反射された光は残りの等辺の側面を垂直に射出する。このようなプリズムを全反射プリズムという。双眼鏡には像の倒立を直す全反射プリズムの一種,ポロプリズムが用いられる(図)。また,全反射の際に,入射角と偏光方向とによって,光の互いに垂直な方向に振動している2成分の位相が変わることを利用したフレネルの斜方体(フレネルロム)は円偏光を作るために用いられる。
全反射をしている面の外側,すなわち屈折率の小さい媒質中には光がしみ出し,境界面に沿って伝わる。これをエバネッセント波という。この面の外側に光の波長程度の間隔を置いて屈折率の高い媒質を再び置けば,エバネッセント波を介して光は透過し,境界面での反射は全反射でなくなる。
執筆者:三須 明
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total reflection
波が速度の遅い媒質から速い媒質に向けて入射するとき,入射角がある臨界角を超えると,波は速い媒質に入り込む(屈折する)ことなく,境界面で完全に反射される。これが全反射である。媒質の速度をV1, V2とする(V1<V2)と,臨界角θcは,sinθc=V1/V2で与えられる。
執筆者:菊地 正幸
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…またn2<n1のとき,sinφ1=n2/n1となる入射角以上ではRPもRsも1となる。このような場合を全反射といい,入射した光はすべて反射される。 屈折率nGの媒質による反射を防止しようとする場合,
なる屈折率の膜でその表面を覆えば,膜の厚さをdとして,nd=λ/4となる波長λの光に対して反射は0となる。…
…第1媒質中の光の速さが第2媒質中に比べて遅い,すなわちn21<1のとき,入射角θIがsinθI=n21を満たす臨界角を超えると,入射光はすべて反射されるようになる。これを全反射という。異方性のある媒質の屈折率は,その中を伝わる光の電場の方向に依存し,一定入射角の入射光も,その偏光方向によって屈折角が異なり,一般には屈折して二つの光線に分かれる。…
※「全反射」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 春の季節がもうすぐそこまで来ていること。《 季語・冬 》 〔俳諧・俳諧四季部類(1780)〕[初出の実例]「盆栽の橙黄なり春隣〈守水老〉」(出典:春夏秋冬‐冬(1903)〈河東碧梧桐・高...