原始・未開社会において行われている宗教形態。
原始宗教は一定の社会集団のなかで自然に形成された宗教であり、教祖・開祖をもたない。無文字社会が多いので、文字で表現された教典をもたず、まとまった教理はない。宗教観念や儀礼・慣行は、神話・伝承の形で伝達される。独立の宗教職能者を欠き、集団の長が宗教儀礼の執行者を兼ねることが多い。その超自然観はアニミズム的またはアニマティズム的であり、霊的存在や呪力(じゅりょく)に対して呪術的にかかわることが多い。宗教と社会組織とが密接に結び付いており、宗教は家族、リニエッジ、クランなど各レベルの連帯性を強め、さらに全体の統合を促す役割をもつ。また宗教が政治、経済、法律、道徳、慣習などと未分化的にかかわっており、祭と政とが一体化し、祭と経済的交換が同一の場で行われ、タブー(禁忌)行為が法的または道徳的観念・行動と重なり合っていることが多い。こうした特徴は多くの民族宗教においてもみられる。
[佐々木宏幹]
『古野清人著『原始宗教の構造と機能』(1971・有隣堂)』▽『エヴァンズ・プリチャード著、向井元子訳『ヌアー族の宗教』(1982・岩波書店)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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