国際刑事警察機構(読み)コクサイケイジケイサツキコウ(英語表記)International Criminal Police Organization

デジタル大辞泉 「国際刑事警察機構」の意味・読み・例文・類語

こくさい‐けいじけいさつきこう【国際刑事警察機構】

加盟国相互の協力により、国際的な刑事犯罪の防止や解決に役立てる目的で結成された国際機関。1923年に国際刑事警察委員会として設立され、1956年に改組、現在の名称となる。1989年、事務総局をパリからリヨンに移転。インターポールICPO(International Criminal Police Organization)。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「国際刑事警察機構」の解説

国際刑事警察機構(ICPO)

57カ国・地域の警察機関を構成員として1956年に発足した。日本は前身の国際刑事警察委員会(23年設立)だった52年から参加している。フランス・リヨンに本部があり、2022年4月時点で195カ国・地域が加盟。国際的な警察協力の促進や犯罪の防止、対策のための活動を支援している。加盟する警察の依頼で、国外逃亡者の逮捕のために身柄引き渡しを前提とした容疑者拘束などを世界中に呼びかける国際手配制度を運営。15年にはサイバー犯罪に対処する新組織「IGCI」をシンガポールに設置した。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

精選版 日本国語大辞典 「国際刑事警察機構」の意味・読み・例文・類語

こくさい‐けいじけいさつきこう【国際刑事警察機構】

  1. ( [英語] International Criminal Police Organization の訳語 ) 加盟国相互の協力により国際的な刑事犯罪の防止に役立てる目的で結成された共助機関。情報・資料の交換、捜査活動の援助が主な任務。任意組織なので強制捜査や逮捕はできず、また政治的・軍事的・宗教的・人種的問題に関与することは厳禁されている。本部はリヨン。一九二三年設立の国際刑事警察会議(ICPC)に始まり、日本は昭和二七年(一九五二)加盟、五六年に現在の名称と組織に改められた。ICPO。インターポール。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「国際刑事警察機構」の意味・わかりやすい解説

国際刑事警察機構 (こくさいけいじけいさつきこう)
International Criminal Police Organization

正式略語はICPO-Interpolであるが,ふつうはICPOあるいはインターポールと呼ばれる。ICPOは刑事警察の国際的共助機関である。ICPOは,その前身である国際刑事警察委員会(ICPC。1923創設)の第25回総会(1956)で,ICPO憲章が採択されたことにより,ICPCが発展的に解消され,誕生した。憲章は,機構の目的を,(1)加盟国の国内法の範囲で,かつ〈世界人権宣言〉の精神に基づき,加盟各国刑事警察相互の最大限の協力を確保,推進すること,(2)犯罪の予防・鎮圧に効果ある制度を確立し,発展させることとしている。そして,機構が政治的,軍事的,宗教的または人種的性格をもついかなる干渉または活動もしてはならないことを明記している。本部はリヨン(1989年までパリ)に置かれ,総会,執行委員会,事務総局(総務,国際協力,調査,国際刑事警察評論の4部),国家中央事務局および顧問の各機関が設置されている。このうちの国家中央事務局は,加盟各国が国際協力の責任を果たすための中心機関として各国単位に設けられるものであり,各国内の各種警察機関をはじめ他国の国家中央事務局および事務総局との連絡にあたる(日本は警察庁)。ICPOを媒介とする国際犯罪検挙の国際間協力の方法には,犯罪情報の交換,指名手配者および被疑者の割り出し,逃亡犯罪人引渡しの請求があった者の逮捕引渡し(条約あるいは協定が必要)がある。技術協力については,事務総局を理論的技術的な情報センターとして,各国警察が相互に交換を図っている。ICPOの活動を実質的に支えるものの一つに,本部を中心に加盟各国間にはりめぐらされているICPO無線網がある。ICPOの財源はおもに加盟各国の分担金である。2005年5月現在で加盟国数は184。日本は創設時より加盟し,警察庁係官1名が本部に常駐している。1996年10月,兼元俊徳警察庁国際部長が第15代総裁に選出
国際共助
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際刑事警察機構」の意味・わかりやすい解説

国際刑事警察機構
こくさいけいじけいさつきこう
International Criminal Police Organization

略称ICPO。国際犯罪について各国警察間の情報交換と捜査協力を目的とする行政レベルの国際機構で、インターポール(INTERPOL)ともよばれる。第一次世界大戦前の第1回国際刑事警察会議(1914、モナコ)に始まり、第2回同会議(1923、ウィーン)の参加7か国が常設機関として国際刑事警察委員会を設立したが、1956年に現在の名称と組織に改められた。本部はフランスのサン・クルーから1988年にリヨンに移った。内部機関は総会、執行委員会、国際中央事務局から構成され、各加盟国には国家中央事務局(日本は警察庁内)が置かれる。国家主権の尊重、各国の国内警察機構の相違を前提とした多辺的な協力を目ざし、とくに、(1)国家中央事務局相互間の常備通信組織による情報交換、被疑事実の照合、犯人手配書の配付、犯罪人引渡しの処理、(2)刑事関係諸条約の起草への参加(通貨偽造防止条約、麻薬単一条約、機上犯罪に関する東京条約、航空機不法奪取の防止に関するハーグ条約、欧州犯罪人引渡条約、欧州道路交通犯罪条約など)、(3)各国際機関との協力(国連経済社会理事会、国際民間航空機関、国際電気通信連合、世界保健機関などとの協力)を行う。ICPOは、正規の基本条約による設立ではなく、国連経済社会理事会も当初は諮問的資格をもつ民間団体として扱ったが、1982年以降は国連との関係では政府間国際機関とみなしている。加盟国は195か国・地域(2022)で、日本は1952年(昭和27)に加盟した。

[山本草二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「国際刑事警察機構」の意味・わかりやすい解説

国際刑事警察機構【こくさいけいじけいさつきこう】

International Criminal Police Organizationの訳。略称ICPO,インターポールInterpol。国際犯罪防止のための,刑事事件の調査,情報収集と照会サービス,資料交換,捜査協力,犯罪人引渡しが主務。任意組織で自らは強制捜査権・逮捕権はないが,たとえば国外に逃亡した容疑者の〈国際手配〉を行う。1923年国際刑事警察委員会として発足,1956年改組・改称。本部はリヨン(フランス)。加盟は190ヵ国・地域(2014年)。日本は1952年加盟。1996年日本人としては初めて兼元俊徳警察庁国際部長が第15代総裁(任期4年)に選出された。→司法共助国際捜査共助法
→関連項目国際警察国際刑事法ピノチェト

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際刑事警察機構」の意味・わかりやすい解説

国際刑事警察機構
こくさいけいじけいさつきこう
International Criminal Police Organization

略称 ICPO; INTERPOL (インターポール) 。加盟国の現行法令の範囲内で各国刑事警察相互の協力をはかることおよび各国警察機関の充実発展をはかることを目的とし,国際的犯罪事件の防止などのために設けられた国際組織。強制捜査権や逮捕権はもたず,刑事事件の調査,情報と資料の交換,各国警察との捜査協力などをおもな任務とする。 1923年,第2回刑事警察国際会議がウィーンで開催された際 (第1回は 1914年,モナコ) ,国際刑事警察委員会 International Criminal Police Commissionが設立された。第2次世界大戦後,同委員会は,本部をウィーンからパリに移し,活動を再開,56年の第 25回総会において ICPOへの改組が決定した。 71年には,政府間機関として国連と協力協定を結んでいる。日本は 52年に加盟し,67年の第 36回総会を京都に招致した。本部は 89年からリヨン。 93年時点で 174ヵ国 (地域を含む) の警察機関をメンバーとする (84年の中国加盟により台湾は脱退) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

知恵蔵 「国際刑事警察機構」の解説

国際刑事警察機構

インターポル(INTERPOL)とも呼ばれる。各国刑事警察組織間の協力のための機構で、1923年に国際刑事警察委員会の名で設立され、56年から現在の名称。加盟国184、本部はフランスのリヨン。総会、執行委員会、事務総局を主要機関とする。自ら捜査等を行うのではなく、加盟国刑事警察が相互に犯罪情報を交換するのを助け、それぞれの機能遂行を円滑にすることを目的として、以下5種類の国際手配書を送付する。(1)赤手配書(逮捕及び身柄引き渡しを求める)、(2)青手配書(犯罪容疑者に関する情報を求める)、(3)緑手配書(犯罪容疑者について警戒情報を与える)、(4)黄手配書(行方不明者等の捜索を求める)、(5)黒手配書(死体の身柄確認を求める)。国際セミナーやシンポジウムなども行う。

(最上敏樹 国際基督教大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android