ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
犯罪人引渡し
はんざいにんひきわたし
extradition
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翻訳|extradition
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犯罪人引渡しは逃亡犯罪人引渡しともいい、一国の法に触れた者または有罪判決を受けた者が自国内に滞在している場合に、通常、外交手続を経て行われる外国の引渡請求に応じて、訴追または処罰のためにこの外国に引き渡すことであり、強制的出国の一つの場合である。典型的には、犯罪地である本国から国外逃亡した「逃亡」犯罪人が対象となるが、この「逃亡」はいまだ裁きや処分を受けずにいることを意味し、かならずしも国外逃亡している意味ではない。
現行国際法上は、一般に国家に犯罪人引渡しの義務があるとはいえず、引き渡すかどうかは国家の自由であり、引渡請求を受けても、請求国に引き渡さず自国に滞在を認めることができる。しかし、犯罪が国際化し犯罪人の国外逃亡が容易になるとともに、逃亡犯罪人の引渡しは、国際協力として一般に望ましいことと考えられ、日米犯罪人引渡条約のような二国間の条約で引渡義務をとくに負っている場合以外でも、犯罪人引渡しに関する国内法により、あるいは国際礼譲として、実際に行われている。
引渡しの対象となる犯罪については具体的には個々の条約が定めるが、比較的重罪に限り、しかも、双方の国で共通に犯罪と認められるものに限るのが普通であり、これを双方可罰の原則という。
しかし、政治犯罪については引渡しが認められず、これを政治犯罪人不引渡しの原則という。政治犯罪は、通常、純粋の政治犯罪と相対的政治犯罪とに分けられ、政治的秩序の侵害に関連して、道義的または社会的に非難さるべき普通犯罪が行われる相対的政治犯罪を犯した者に対するこの原則の適用については争いがある。なお、外国元首やその家族に危害を加える行為は政治犯罪とみなさないというベルギー条項または加害条項が多くの国によって採用されている。
犯罪人として引き渡されるのは、通常、請求国または第三国の国籍を有する者に限られ、自国民は引き渡さないという原則が多数の国によって採用されており、自国民不引渡しの原則とよばれる。
引渡しを受ける国は、犯罪の行われた犯罪地国を原則とするが、複数の請求国がある場合には、先に請求した国に引き渡すことが多い。最近の傾向として、死刑存置国には引き渡さないとする国が増えている。引き渡された者は、引渡しの理由となった犯罪についてのみ審理・処罰され、それ以外についてはほかに犯罪があっても処罰されることはない。これを一般に特定主義という。
[芹田健太郎]
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