大般若経(読み)ダイハンニャキョウ

デジタル大辞泉 「大般若経」の意味・読み・例文・類語

だいはんにゃ‐きょう〔‐キヤウ〕【大般若経】

大乗経典。600巻。唐の玄奘げんじょう訳。「仁王にんのう経」「般若心経」以外の般若部諸経を集大成したもので、16部からなる。般若波羅蜜の義、諸法皆空の理を説いたもの。大般若波羅蜜多経

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精選版 日本国語大辞典 「大般若経」の意味・読み・例文・類語

だいはんにゃ‐きょう‥キャウ【大般若経】

  1. 大乗仏教初期の経典。サンスクリット原典・チベット語訳とも現存する。六〇〇巻。唐の玄奘(げんじょう)が顕慶五年(六六〇)元旦から約四年をかけて翻訳した。空(くう)を説く般若経典類を集大成したもので、四処一六会に分かれる。大般若波羅蜜多経。大般若。
    1. [初出の実例]「詔四大寺大般若経」(出典続日本紀‐大宝三年(703)三月辛未)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大般若経」の意味・わかりやすい解説

大般若経
だいはんにゃきょう

仏教経典。『大般若波羅蜜多(はらみった)経』の略称。全600巻。中国、唐の玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)訳。サンスクリット名はマハープラジュニャーパーラミター・スートラMahāprajñāpāramitā-sūtra。この経は、紀元1世紀ごろから個々に成立した般若部の諸経典を集大成した一大叢書(そうしょ)で、16部に分かれ、八十余科の名数をあげて、般若波羅蜜、諸法皆空(かいくう)などを明らかにした般若経典集。したがって、この経には、『大品(だいぼん)般若経』『小品般若経』『文殊(もんじゅ)般若経』『金剛(こんごう)般若経』などの諸経典が含まれている。般若経の読誦(どくじゅ)、書写思索などによる諸功徳(くどく)が説かれていることから、除災招福、鎮護国家などに有益であるとされた。ことに日本においては、703年(大宝3)文武(もんむ)天皇のとき『大般若経』の転読(経題や経の初中終の数行の略読を繰り返すこと)が行われたことが『続日本紀(しょくにほんぎ)』にみられる。それ以後、日本では宗派の別なく勅命によりこの転読が行われた。

坂部 明]

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改訂新版 世界大百科事典 「大般若経」の意味・わかりやすい解説

大般若経 (だいはんにゃきょう)

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防府市歴史用語集 「大般若経」の解説

大般若経

 教典の1つで、最高の真理(般若[はんにゃ])から見るとすべてのものは実体がない(空[くう])だという教えを説いたものです。全部で600巻あります。

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世界大百科事典(旧版)内の大般若経の言及

【大般若転読】より

…仏事の法要名。大般若経600巻を短時間に読み上げる法要。そのために,たとえば30人の職衆(しきしゆう)に20巻ずつ分担させるなどしたうえ,転読という速読法を用いる。…

【般若経】より

…密教化した《理趣経》なども般若経典の一部である。これらを集大成したものが玄奘訳《大般若経》600巻である。注釈書として,インド,チベットでは弥勒の著とされる《現観荘厳論(げんかんしようごんろん)》が重んじられたが,中国,日本では竜樹の著とされる《大智度論》100巻(クマーラジーバ訳)が最もよく読まれた。…

※「大般若経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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