(読み)ジュツ

デジタル大辞泉 「戌」の意味・読み・例文・類語

じゅつ【戌】[漢字項目]

[音]ジュツ(慣) [訓]いぬ
十二支の11番目。いぬ。「戊戌ぼじゅつ
[補説]「じゅ・まもる」「ぼ・つちのえ」は別字

いぬ【×戌】

十二支の11番目。
方角の名。西から北へ30度の方角。西北西
時刻の名。今の午後8時ごろ、およびその後の2時間。または午後8時の前後の2時間。
1にあたる年や日。
陰暦9月の異称

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精選版 日本国語大辞典 「戌」の意味・読み・例文・類語

いぬ【戌】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 十二支の一つで、その第一一番目。
    1. [初出の実例]「むま・ひつじ・さる・とり・いぬ・ゐ うまれよりひつじ作れば山にさる独(ひとり)いぬるに人ゐて在せ〈よみ人しらず〉」(出典拾遺和歌集(1005‐07頃か)物名・四三〇)
  3. 年月日、方角、時刻に配して、その呼び名とするもの。
    1. (イ) にあたる年や日。
      1. [初出の実例]「わしは戌(いぬ)で長六十」(出典:浄瑠璃・鑓の権三重帷子(1717)上)
    2. (ロ) 西から北へ三〇度寄った方角。西北西。
    3. (ハ) 奈良・平安時代の定時法では、ほぼ現在の午後七時から九時まで。鎌倉時代以降の不定時法では、春は午後七時半頃から九時頃まで、夏は八時すぎから九時半頃まで、秋は七時頃から九時頃まで、冬は六時すぎから八時半頃まで。なお江戸時代後半には半刻(約一時間)遅れて行なわれた。夜五つ。→戌の時戌の刻
      1. [初出の実例]「自酉至戌、宇治河水涸竭」(出典:続日本紀‐天平一五年(743)六月癸巳)
    4. (ニ) 九月の異称。
  4. 数の百をいう、古本屋仲間の隠語。〔東京語辞典(1917)〕

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普及版 字通 「戌」の読み・字形・画数・意味


6画

[字音] ジュツ
[字訓] けずる・いぬ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
戉(まさかり)の刃部を主とする形。〔説文十四下に「(ほろ)ぶるなり。九、陽气にして、物畢(ことごと)くり、陽下りて地に入るなり。五行、土は戊(ぼ)に生じ、戌にんなり。戊の一を含むに從ふ」という。のちの字形によって、五行説に附会したもので、卜文・金文の字形は斧鉞(ふえつ)の象。剝削に用いる器である。〔段注〕に「一は亦聲なり」とするが、声も合わず、卜文には一に従う字形はない。十二支の名に用いるものはすべて仮借。字の本義とは関係のない用法である。

[訓義]
1. まさかり、まさかりでけずる、けずりそこなう。
2. と通じ、あわれむ。
3. 十二支の一、いぬ。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕戌 イマシメ・イヌ・トドム・タスク・サイキル・コモル

[声系]
〔説文〕に十二支の例に従って戌を部首とするも、属の字はない。(歳)を戌声とし、またを会意として火部に属している。

[語系]
戌siut、(雪)siuatは声が近い。刷shoatもその声が近く、すすぐ意がある。戌の本義は明らかでないが、〔説文〕に「ぶるなり」とする訓によって考えると、呪器としての戉(鉞(まさかり))によって、汚穢を雪ぎ祓う意であろうと思われる。

[熟語]
戌月戌削戌時戌臘

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「戌」の意味・わかりやすい解説


いぬ

十二支の第11番目。「じゅつ」ともいい、十二支獣としてイヌがあてられる。9月の異称として用いられるほか、戌の日には、イヌの安産にあやかるようにとの願いから、妊娠5か月の婦人が岩田帯を締めるという俗信がある。時刻としても用いられ、今日の午後8時を中心とした前後2時間を「戌の刻」「戌の時」といった。方角としては、西から北へ30度寄った方向をいい、西北西にあたる。呪文(じゅもん)に「戌亥子丑寅(いぬいねうしとら)」というのがあるが、これはイヌに追われたり囲まれたりしたとき、この呪文を唱えつつ5本の指を折ると、イヌが退散すると考えられていた。

[宇田敏彦]

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占い用語集 「戌」の解説

十二支の一つ。陽の土で、季節は土用、月は10月、時間は19~21時、方位は西北西を表す。

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