カタクリの鱗茎からとったデンプン。3~5月に掘りとった鱗茎をつきくだいて布袋に入れ,水中でもんでデンプンを洗い出し,精製,乾燥する。製品歩留りは約20%。無味無臭の白色粉末で,湯で練ると無色に変わり,くせがなく風味がよい。江戸時代には大和の宇陀のものが有名で,幕府へ献上され,播磨,越前その他でもつくられていた。現在ではほとんど生産されず,片栗粉の市販品はジャガイモやトウモロコシのデンプンの精製品である。葛粉(くずこ)の代用として葛湯にしたり,和菓子の材料とされるほか,あんかけ,揚物などの料理に用いられる。小林一茶は《父の終焉日記》(1801)の中で,〈かたくりなど練りて〉と,葛湯にして病床の父に勧めたことを記している。
執筆者:平野 雄一郎
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…栽培して観賞用とされるほか,鱗茎からは良質のデンプンがとれる。以前は石臼でひき,木綿でこして片栗粉をとった。現在,市販されている片栗粉は量産されたジャガイモやトウモロコシのデンプンである。…
※「片栗粉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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