顔や指紋、静脈といった本人の身体的な特徴を使って同一人物かどうかを確認する手法。顔認証では目や鼻、口などの位置や大きさを、事前に撮影した画像と比較して照合する。本人だけが持つ特徴を使って認証するため、なりすましや偽造が難しく、安全性が高いとされる。顔認証は空港での出国・帰国手続きや米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」などで採用されている。
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個々人で異なる身体的・行動的特徴などを利用して本人であることを確認する機能。バイオメトリックス認証biometrics authenticationともよばれる。指紋、掌紋、瞳(ひとみ)の虹彩模様、顔の輪郭、目や口の位置、静脈パターン、声紋などの身体的特徴や、筆跡、キーボードの打ち方、歩き方などの行動の癖を利用して個人を識別する。画像処理によって測定・分析した身体的・行動的特徴情報を事前に登録し、カメラなどで読み取った情報と照らし合わせて本人かどうかを確認する場合が多い。いずれも認証精度が高く、偽造されにくいとされる。パスワードやICカードのように忘却、紛失、盗難のおそれもない。しかしシリコン製偽造指や人工知能(AI)による加工音声を使った犯罪が起きるなど、「なりすまし」によってひとたび生体認証が成立してしまうと、以降の安全性を回復できないリスクもある。
記憶容量が大きいICチップの実用化によって普及に弾みがつき、2001年のアメリカ同時多発テロ以降、厳密な本人確認が必要な空港や原子力発電所などで導入の動きが広がった。カメラ搭載型スマートフォンの普及や人工知能(AI)・暗号技術の発展に伴い、暮らしの至る所で実用化されている。スマートフォンやパソコンへのログイン、ネットワークへのアクセスや情報検索、家電・ゲーム機・室内装置の操作、企業・工場・研究施設などの入退出・勤怠管理、列車・自動車・航空機などへの乗車・搭乗、レジャー・商業施設への入場、インターネット決済、防犯カメラ、科学捜査、ネット投票、献血、入国審査、国民識別番号など本人確認が必要な幅広い場面で利用されている。互換性のない認証技術が乱立するのを防ぐため、国際非営利団体のFIDO(ファイド)アライアンス(Fast Identity Online Alliance)が2012年に発足し、世界のほとんどのIT企業が参加して、公開鍵(かぎ)暗号方式に基づく秘密鍵と生体認証などを組み合わせた認証モデルを標準化し、パスワード不要の認証技術の普及を後押ししている。
[矢野 武 2024年6月18日]
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(斎藤幾郎 ライター / 2009年)
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