俗に耳とよんでいる部分であるが、解剖学的には外耳道の開口部で側頭部に突出している凹凸に富んだ扁平(へんぺい)な器官をさし、その形から耳殻(じかく)ともいう。耳介と外耳道とで構成されたものが外耳である。耳介は哺乳(ほにゅう)動物に特有の構造で、本来は外界の音波に対する集音器の役割や音の方向感の認知の役割を果たす器官と考えられている。耳介の基礎をつくっているのは耳介軟骨で、これを皮膚が覆っている。耳介の下端はやや膨らんで下方に垂れ下がっており、耳垂(じすい)(ミミタブ)とよぶが、この部分だけは内部に軟骨がなく脂肪組織に富むので柔らかい。耳介の最外周縁はC字状の輪郭をしており、耳輪(じりん)とよぶ。耳輪の内側縁の溝が舟状窩(か)で、この溝とほぼ平行に走る隆起が対輪(たいりん)である。対輪隆起線を上方にたどると2分岐するが、この分岐した隆起線をそれぞれ対輪脚とよび、両脚に挟まれたくぼみを三角窩とよぶ。外耳孔の前縁には後方に向かって突出した耳珠(じしゅ)があり、これの後ろ下方の対側に対珠(たいしゅ)とよぶ隆起がある。耳珠付近には毛(耳毛(じもう))が生える。耳介内面の凹凸の形はそれぞれに遺伝性があるとされている。耳介が凍傷にかかりやすいのは耳介軟骨を覆う皮膚が薄く、皮下脂肪、血管分布も少ないので寒冷に対する抵抗が弱いからである。耳介の前・上・後方には骨格筋である外耳介筋があり、顔面神経の支配を受けて耳介を動かす作用をもつが、ヒトではその働きも退化している。また元来、耳介内に内耳介筋というのがあり、耳介の形を変える働きをしているが、これもヒトでは退化の傾向にあり、その働きはほとんどない。
[嶋井和世]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この管状の部分は外耳道といい,ふつうは軟骨によって取りまかれている。哺乳類のうち,原始的な単孔類,水中生活に適応したアザラシ類,および地中生活に特殊化したモグラ類を除く大半のものでは,外耳道の外口の後上方に集音装置として耳介(耳がら)が発達している。耳介の内部には頭蓋につながる耳介軟骨があり,耳介を支える支柱になっている。…
…(4)耳は頭,顔,くびの3部の相合する点にある貝殻状の皮膚のひだである。正しい解剖学名は〈耳介〉(介は貝の意)で,一部は軟骨を芯にしている。耳介の中央からやや下前に寄った所に耳の穴(外耳孔)がある。…
…耳介が正常と比べて異常に小さい奇形をいう。耳介が正常の形をしていて,ただ小さいだけということはまれで,ほとんどの場合が形態の著しい変化を伴う。…
…脊椎動物の頭部にある有対の感覚器官で,平衡覚と聴覚をつかさどる。ふつう〈耳の形〉などというときには,哺乳類の頭の両側に突出した耳介を指すが,解剖学的にいえば耳には内耳,中耳,外耳の3部分が含まれる。内耳は刺激を受容する中心的部分で,最も奥深く位置し,進化的にみて最も由来が古く,すべての脊椎動物が例外なく備えるものである。…
※「耳介」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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