茶箱(読み)ちゃばこ

精選版 日本国語大辞典 「茶箱」の意味・読み・例文・類語

ちゃ‐ばこ【茶箱】

〘名〙
葉茶を詰めて運送するのに使う大形の木箱湿気を防ぐために内側外側に紙を張り渋を引いたり、ブリキを張ったりする。葉茶を蓄えるのにも用いる。湿気を防ぐところから、衣類収納などにも転用される。茶櫃(ちゃびつ)
南方録(17C後)滅後「茶箱の手前、二様あり。〈略〉人の方へ茶ををくる時、持参することもあり、先だって持せつかはすこともあり」
② 茶をたてる道具一式をおさめる箱。外出遊山などのとき持ち運んで点茶する。
※南方録(17C後)滅後「野がけの時、茶道具入組たるをも茶箱と云」

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デジタル大辞泉 「茶箱」の意味・読み・例文・類語

ちゃ‐ばこ【茶箱】

葉茶を運送・貯蔵するのに用いる大形の木箱。湿気を防ぐため、内側にブリキや渋紙などをはる。
旅行野点のだてなどのとき、茶道具一式を入れて持ち運ぶための箱。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「茶箱」の意味・わかりやすい解説

茶箱
ちゃばこ

点前(てまえ)に必要な最少限度の道具一式を仕込んだ携帯用の箱。旅行の際や野点(のだて)用に考案されたもので、茶人の好みによって種類は多い。携帯用の茶具としては古くからあったと考えられ、利休(りきゅう)所持蒟醤(きんま)茶箱が伝来している。しかし茶人の好みとしては利休形が最初である。元来茶箱には定まった点前はなかったが、裏千家11世玄々斎精中宗室によって「雪月花(せつげつか)」および「卯(う)の花点(はなだて)」の点前が考案されたことにより、裏千家に好みが多い。

[筒井紘一]

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百科事典マイペディア 「茶箱」の意味・わかりやすい解説

茶箱【ちゃばこ】

(1)緑茶を入れる箱。長方形の木箱の内外を紙張りし,多くはさらに内側に亜鉛の薄板を張って防湿してある。(2)野外で茶をたてる時などに茶具を携行するための箱。茶碗(ちゃわん),茶杓(ちゃしゃく),茶筅(ちゃせん)筒,香合などを入れる。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「茶箱」の解説

茶箱
ちゃばこ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
元禄12(大坂)

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世界大百科事典(旧版)内の茶箱の言及

【箱】より

…また箱は必要とする諸道具を簡便に一括する機能を果たしている。近世の茶人が愛好した茶箱が好例で,比較的小型の茶道具を納めて携帯に便利とし,趣好を反映して仕立てるほか,茶器や軸物をいれる保存箱も考案された。 宗教関係の箱も多様をきわめたが,経典を納める経箱,密教の灌頂(かんぢよう)の際に三昧耶戒(さんまやかい)の式文などを納める戒体箱,法会の次第・説教文などを納め脇机上におく据(すえ)箱,説相箱,念珠箱,宝珠箱,袈裟箱,三衣箱があげられる。…

※「茶箱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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