シトロネロール(英語表記)citronellol

改訂新版 世界大百科事典 「シトロネロール」の意味・わかりやすい解説

シトロネロール
citronellol



ゼラニウム油シトロネラ油などの精油成分として存在する新鮮なローズ様の甘い香気をもつ無色液体。天然のシトロネロールは,ゲラニオールなどの共有する各種の不純物により,その香気は若干変化する。非環式モノテルペンに属するアルコールで,d-,l-の光学異性体が存在する。比重0.86,沸点225℃,引火点102℃。水に難溶,アルコール,エーテルに可溶だがグリセリンには不溶。ゼラニウム油,シトロネラ油を蒸留,精製して採取する。合成法としては,シトロネラール,ゲラニオールの接触水素添加による。またβ-ピネン,ミルセンを経ての合成法,イソプレンからの合成法もある。ゲラニオールより,さらに甘い香気をもち,セッケン芳香剤,香粧品,とくにローズ系調合香料ベースとして広く用いられる。
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化学辞典 第2版 「シトロネロール」の解説

シトロネロール
シトロネロール
citronellol

C10H20O(156.26).非環状モノテルペンアルコール多く植物の精油中に含まれている.ローズ油には(-)-シトロネロールが含まれ,シトロネラ油を還元すると(+)-シトロネロールが得られる.(-)-シトロネロールはロジノール(rhodinol)ともよばれ,香料としては(+)-シトロネロールよりすぐれている.(+)-シトロネロールは沸点224.5 ℃,108.4 ℃(1.3 kPa).0.86.1.46.+5.22°(クロロホルム).[CAS 7540-51-4:(S)-(-)シトロネロール][CAS 106-22-9:ラセミ体]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シトロネロール」の意味・わかりやすい解説

シトロネロール
しとろねろーる
citronellol

鎖状モノテルペンアルコールの一つ。多くの植物精油中にα-とβ-の混合物として存在する。シトロネロールには1個の不斉炭素原子があるので、右旋性(d体)、左旋性(l体)および不活性(dl体、ラセミ体)の光学異性体がある。シトロネロールはシトロネラ油、ゼラニウム油に含有され、甘いバラ様の香気を有する無色の液体である。引火点102℃。シトロネラ油を精留してシトロネロール留分をとり、精製して製品とする。シトロネラールを接触水添しても得られる。バラ、ミューゲ、スズランなどのフローラル系調合香料に用いられる。

[佐藤菊正]

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百科事典マイペディア 「シトロネロール」の意味・わかりやすい解説

シトロネロール

化学式はC1(/0)H2(/0)O。テルペンアルコールの一種。バラのかおりのある無色の液体。沸点225℃,引火点102℃。ゲラニオールとともにバラ油,シトロネラ油,ゼラニウム油など多くの精油中に含まれる。重要な香料原料。
→関連項目テルペンレモングラス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シトロネロール」の意味・わかりやすい解説

シトロネロール
citronellol

化学式 C10H20O 。シトロネラ油中に含まれるモノテルペンアルコールで,バラの香りを有する液体。沸点 225℃。工業的にはバラの人工香料として化粧品や石鹸に使われる。

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栄養・生化学辞典 「シトロネロール」の解説

シトロネロール

 d体,l体があり,前者はシトロネラ油に,後者はバラやゼラニウム油にある.食品添加物(香料).

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世界大百科事典(旧版)内のシトロネロールの言及

【バラ(薔薇)】より

…とくにダマスクバラは芳香がよく,現在でも用いられている。主成分としてはゲラニオールgeraniol,シトロネロールcitronellol,フェニルエチルアルコール,ネロールnerol,リナロールlinaloolなどを含む。種や品種によって芳香はさまざまに異なり,ローザ・モスカータは麝香(じやこう)に似た香り,ティー・ローズは紅茶の香り,また果実や薬味風の香りをもつもの,葉にニッケイのようなにおいのあるバラなどがあり,微量精油成分も少しずつ違う。…

【バラ(薔薇)】より

…とくにダマスクバラは芳香がよく,現在でも用いられている。主成分としてはゲラニオールgeraniol,シトロネロールcitronellol,フェニルエチルアルコール,ネロールnerol,リナロールlinaloolなどを含む。種や品種によって芳香はさまざまに異なり,ローザ・モスカータは麝香(じやこう)に似た香り,ティー・ローズは紅茶の香り,また果実や薬味風の香りをもつもの,葉にニッケイのようなにおいのあるバラなどがあり,微量精油成分も少しずつ違う。…

※「シトロネロール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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