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ラセミ体 ラセミたいracemic modification

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ラセミ体
ラセミたい
racemic modification

等量の光学対掌体から成る物質で,ラセミ混合物ラセミ化合物 (分子化合物の一種) とがある。ラセミ体は偏光面の回転角が等しく,その方向が反対の旋光性を有する各対掌体の等量から成るために光学不活性である。気体,液体,溶液の場合は混合物として存在するが,結晶の場合は混合物,分子化合物,固溶体などの状態をとる。天然物のなかには光学活性体が多いが,通常の合成によって得られた化合物はラセミ体である。 (→ラセミ化 , ラセミ体の分割 )

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デジタル大辞泉の解説

ラセミ‐たい【ラセミ体】

racemic body》化学構造が鏡像の関係にある一対の光学異性体を等量混合した物質。光学活性は失われ、旋光性を示さない。

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百科事典マイペディアの解説

ラセミ体【ラセミたい】

1対の対掌体の当量混合物。対掌体が分子化合物をつくっていることがしばしばあり,その場合はラセミ化合物ともいう。→光学異性

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世界大百科事典 第2版の解説

ラセミたい【ラセミ体 recemic body】

対掌体が等量混じっているため,旋光性を失っている物質。旋光性の方向を表すのに,右旋性をd‐または(+),左旋性をl‐または(-)と書くのに従って,ラセミ体はdl‐または(±)と書く。 1820年ころ,ブドウ酒に含まれている通常の酒石酸と性質が異なる異性体が発見された。J.L.ゲイ・リュサックはこれをラセミ酸(ラテン語のブドウの実racemusに由来)と呼んだ。酒石酸は右旋性であったが,ラセミ酸は光学不活性であった。

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大辞林 第三版の解説

ラセミたい【ラセミ体】

互いに鏡像の関係にある光学異性体を等量含み、全体として旋光性を示さない物質。ラセミ体が結晶をつくるとき、両光学異性体の一対が分子化合物をつくる場合を、特にラセミ化合物という。 → 光学異性

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ラセミ体
らせみたい
racemic modification

等しい量の光学対掌体(エナンチオマーenantiomer)からなる光学不活性の物質をいう。光学活性をもたない原料および試薬を用いて不斉(ふせい)化合物を合成すると光学活性(旋光性)をもたないラセミ体が得られるほか、両光学対掌体を等量混合した溶液から結晶させるなどの方法によってもラセミ体が得られる。ラセミ体の溶液は光学対掌体を等量含む混合溶液にすぎないが、固体では、(1)ラセミ化合物、(2)ラセミ混合物、(3)ラセミ固溶体、の3種の形態のいずれかで存在する。ラセミ化合物racemic compoundでは、両対掌体が1:1の組成の分子化合物をつくっていて、一般に、光学活性な対掌体に比べると結晶形、融点、溶解度などの性質が異なっている。ラセミ混合物racemic mixtureは両方の光学対掌体の結晶が等量混じり合ったもので、結晶を大きく成長させると肉眼で両対掌体結晶を拾い分けることもできる。ブドウ酸アンモニウムナトリウムの結晶を拾い分けてD-酒石酸とL-酒石酸に分割したフランスのパスツールの実験は有名である。ラセミ固溶体racemic solid solutionは、光学対掌体と融点が等しく、また両対掌体の比率を変えても融点は変わらないという特色があるが、その例は比較的少ない。[廣田 穰]

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