三等重役(読み)サントウジュウヤク

デジタル大辞泉 「三等重役」の意味・読み・例文・類語

さんとうじゅうやく【三等重役】[書名]

源氏鶏太長編小説。昭和26年(1951)から昭和27年(1952)にかけて「サンデー毎日」誌に連載。「三等重役」は流行語となった。昭和27年(1952)春原政久監督により映画化

さんとう‐じゅうやく〔‐ヂユウヤク〕【三等重役】

名目だけで、実質的には一般社員と変わりのない重役サラリーマン重役
[補説]源氏鶏太小説題名から広まった語。→三等重役書名

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精選版 日本国語大辞典 「三等重役」の意味・読み・例文・類語

さんとう‐じゅうやく ‥ヂュウヤク【三等重役】

〘名〙 経営はまかされていても資本実権はない重役。また、小規模の会社のため、たいした実権を持っていない重役。昭和二六年(一九五一)、源氏鶏太作の小説「三等重役」から広まったことば。

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改訂新版 世界大百科事典 「三等重役」の意味・わかりやすい解説

三等重役 (さんとうじゅうやく)

源氏鶏太(1912-85)の現代小説。1951年から52年にかけて《サンデー毎日》に連載。戦後風俗を背景に,総務部長から特進した新社長と,その補佐をする人事課長のコンビを軸に,サラリーマン気質のしみついた重役の哀歓を軽妙に描く。敗戦後,占領軍による旧指導者層の追放交替に登場した成り上がりの新指導者への風刺自嘲が共感をもって迎えられ,この題名は流行語となった。52年東宝で映画化。またこの小説のユーモア中村武志(1909-92)の目白三平物に受け継がれ,アイロニーは深められて山口瞳(1926-95)の江分利満氏物へと展開する。《三等重役》は,戦前のユーモア小説の流れをくみながら,戦後の給与所得層の生活と心情を描いたサラリーマン小説の原点にあたる。この系譜は,今日では企業の戦士としてサラリーマンを描く城山三郎(1927-2007),さらに国際的な視野に立つ深田祐介(1931- ),堺屋太一(1935- )らの小説へと拡大し多様化されてきている。
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デジタル大辞泉プラス 「三等重役」の解説

三等重役

1952年公開の日本映画。監督:春原政久、原作:源氏鶏太、脚色:山本嘉次郎、井手俊郎、撮影:玉井正夫、音楽:松井八郎、美術:北川恵笥。出演:小川虎之助、三好栄子、関千恵子、河村黎吉、沢村貞子、井上大助、森繁久彌ほか。第7回毎日映画コンクール演技特別賞(河村黎吉)受賞。

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世界大百科事典(旧版)内の三等重役の言及

【喜劇映画】より

…コメディアンも1人で観客を動員することが困難になっていった。東宝を例にとれば,《三等重役》(1952)に始まる《社長》シリーズ(サラリーマン喜劇)と,《駅前旅館》(1958)に始まる《駅前》シリーズ(商売喜劇)は,いずれも,森繁,伴淳三郎,フランキー堺,三木のり平らを軸にした〈喜劇人総出演〉型である。そうした中で,植木等主演の《ニッポン無責任時代》(1962)は,サラリーマン喜劇に属しながら,陽気なピカレスクの輝きを見せ,異彩を放つが,シリーズ化された後続の作品は平凡なものとなった。…

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