中禅寺(読み)チュウゼンジ

デジタル大辞泉 「中禅寺」の意味・読み・例文・類語

ちゅうぜん‐じ【中禅寺】

栃木県日光市にある天台宗の寺。山号は補陀落山ふだらさん。延暦年間(782~806)、勝道が二荒山ふたらさん中宮祠の西側に建立。大正2年(1913)現在地に移転。坂東三十三所第18番札所。立木観音たちきかんのん

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精選版 日本国語大辞典 「中禅寺」の意味・読み・例文・類語

ちゅうぜん‐じ【中禅寺】

栃木県日光市中宮祠にある天台宗の寺。輪王寺に属する。山号は日光山。延暦三年(七八四)勝道上人が創建。はじめ二荒山中宮祠の西隣にあったが明治末に現在地に移った。坂東三十三所の第一八番札所。通称は立木観音

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日本歴史地名大系 「中禅寺」の解説

中禅寺
ちゆうぜんじ

[現在地名]日光市中宮祠

中禅寺湖の南岸、男体山の対岸のうたヶ浜にある。日光山輪王寺の別院。日光開山の勝道が延暦三年(七八四)五月に千手観音の示現をえて建立。二荒山権現の本地仏千手観音を安置する神宮寺(「沙門勝道歴山水瑩玄珠碑并序」性霊集)立木たちき観音と称する、立木のまま手彫された丈六の千手観音像(国指定重要文化財)を安置する観音堂を中心に境内が形成される。もともと湖の北岸、つまり男体山の南麓にあり、二荒山権現(男体権現)を祀っていた。保延七年(一一四一)藤原敦光の記した「中禅寺私記」には「其嶽半腹有大伽藍、号中禅寺、安置丈六千手観音像(中略)又妙法蓮花経一千部、并大般若経六百軸、併納之函底、安之堂中」とある。

中禅寺
ちゆうぜんじ

[現在地名]上田市大字前山 西前山

西前山の惣門にしまえやまのそうもんにある。真言宗智山派、竜王山延命院中禅寺、本尊地蔵尊。独鈷とつこ山の山麓、標高六〇〇メートルの地点にある。独鈷山は塩田平の大部分を灌漑するさん川の水源であり、その直下にあることから、この山の信仰から生れた寺であろう。往時から旱魃には奥の院竜王山千駄焚せんだんだきが行われ(宝永三年上田藩村明細帳)、現在も継続されている。

かつて独鈷山頂にあり、安然坊の開基と伝え、のち現地に移し前山ぜんさん寺末になったという。慶長一〇年(一六〇五)前山之郷御毛見帳(倉沢文書)に、「香免」「東大門」「中禅寺畑」「まこと坊」「惣門」などの地名がみえるのは、中禅寺に関係ある地名であり、平安末の形式を伝える薬師堂(重要文化財)、鎌倉初期の造立とされる薬師如来(重要文化財)があり、この地方で最も古い寺の一つと想像される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中禅寺」の意味・わかりやすい解説

中禅寺
ちゅうぜんじ

栃木県日光市中宮祠(ちゅうぐうし)にある天台宗の寺。俗に立木観音(たちきかんのん)とよばれ、輪王寺(りんのうじ)の所管。766年(天平神護2)勝道(しょうどう)は日光に四本龍寺(しほんりゅうじ)を建て、782年(延暦1)男体山(なんたいさん)に登って、二荒山(ふたらさん)奥院(おくのいん)を創建。784年中禅寺湖の岸に奥院遙拝(ようはい)所として中宮祠を設け、その西側に神宮寺として中禅寺を建て、千手(せんじゅ)観音像を祀(まつ)ったという。勝道の請によって空海が撰(せん)した碑文に、二荒山および中禅寺開創の経緯が記されている。848年(嘉祥1)円仁(えんにん)が中禅寺に詣(もう)で、唐の玄法寺法全(はっせん)所伝の『金剛頂経(こんごうちょうぎょう)』などを納めたといわれる。中宮祠と一体となって栄えたが、1902年(明治35)の山津波に湖中に押し出され、13年(大正2)現在地に再建され、70年(昭和45)五大堂が建てられた。本尊の千手観音像(国の重要文化財)は勝道の作と伝えられるが、鎌倉時代のもの。五大堂には安土(あづち)桃山時代から伝わる五大尊像が祀られている。

[田村晃祐]

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デジタル大辞泉プラス 「中禅寺」の解説

中禅寺〔栃木県〕

栃木県日光市にある寺院。天台宗。日光山輪王寺の別院。本尊は千手観音。784年、勝道上人が建立したと伝わる。1902年の山津波で被災、1913年に現在地に再建。「立木観音」ともいう。

中禅寺〔長野県〕

長野県上田市にある真言宗智山派の寺院。鎌倉時代前期に建てられた薬師堂、本尊の薬師如来座像などが国の重要文化財に指定されている。

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事典・日本の観光資源 「中禅寺」の解説

中禅寺

(長野県上田市)
信州の古寺百選」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の中禅寺の言及

【中禅寺湖】より

…湖水は華厳滝となって落下する大谷川の表面排水のほか,華厳滝の滝壁から湧き出す十二滝や白雲滝などの地下排水を通して下流に流れ出る。湖尻に設置されている栃木県営の中禅寺ダムは湖水位を最大2m調節できるため,華厳滝の落水量や下流の発電所への流入水量を調整している。湖水の透明度は夏に大きく,1年を通しておよそ8~10mの間を変化する。…

※「中禅寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」