基礎食品(読み)きそしょくひん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「基礎食品」の意味・わかりやすい解説

基礎食品
きそしょくひん

栄養上、食品を栄養成分の特徴別に分類したそれぞれの食品群をいう。日本では実地栄養学的見地から、また、食生活改善や生活習慣病予防のため、あるいは疾病の治療や改善のための栄養指導の面から食品を六つの基礎食品に分ける方法がとられてきた。栄養が偏ることのないように、各食品群から適当に取り合わせて献立をつくるように指導される。六つの基礎食品群の食品と特徴は次のとおりである。

(1)魚、肉、卵、大豆 タンパク質に富み、脂肪、無機質リンと鉄)、ビタミン(B1、B2ナイアシン)を含む。

(2)牛乳乳製品、骨ごと食べられる魚(ワカメコンブのりなど海藻を含む) カルシウムに富む。タンパク質、脂肪、ビタミンも多く、海藻はヨードを多く含む。

(3)緑黄色野菜 ビタミンA、Cや塩類に富む。

(4)その他の野菜、果物 ビタミンCに富む。

(5)米、パン、麺(めん)、いも デンプンが主成分でエネルギーが主体主食として多量に食べられるので、タンパク質、ビタミンB1、無機質をも供する。

(6)油脂 ビタミンA、Dに富む。

 なお国や指導方法によっては、4群に分けるところもある。日本では2005年(平成17)に、食事の望ましい組合せやおおよその量をわかりやすく示した「食事バランスガイド」が厚生労働省農林水産省共同により作成された。この指導方法では料理区分を主食、副菜主菜、牛乳・乳製品、果物の五つのグループに分け、1日分の食事バランスイラストで示している。

[河野友美・山口米子]

『日本栄養士会編『解説 健康づくりのための6つの基礎食品』第4版(1995・第一出版)』『藤沢良知監修『キーワード栄養指導』(1996・朝倉書店)』『全国調理師養成施設協会編『食品標準成分表2006』5訂増補版(2005・全国調理師養成施設協会、調理栄養教育公社発売)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「基礎食品」の意味・わかりやすい解説

基礎食品
きそしょくひん

含まれる栄養成分の特徴ごとに分類された食品,またはその食品群。厚生労働省が定めたもので,毎日必要な栄養素をバランスよく摂取するために,六つに分類された各群から食物を組み合わせるよう指導した。栄養素と,それらの供給源となるおもな食物の分類は以下のとおり。(1) 蛋白質 魚,肉,卵,大豆・大豆製品。(2) カルシウム 牛乳・乳製品,海藻,小魚など骨ごと食べられる魚。(3) カロテン 緑黄色野菜。(4) ビタミンC 淡色野菜,果物。(5) 糖質性エネルギー(炭水化物) 穀類(米・パン・麺類),芋,砂糖。(6) 脂肪性エネルギー(脂質) 油脂類,脂肪性食品。

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栄養・生化学辞典 「基礎食品」の解説

基礎食品

 食品が含む特徴的な栄養素によって分類したもの.各群から最低1種を選択すると日々のバランスがとれるように配慮されている.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の基礎食品の言及

【食品】より

…これに対して,動物性食品は一般に脂肪や動物性タンパク質に富む。
[主要成分による分類]
 栄養素による分類で,厚生省は栄養改善や健康増進の見地から,1981年,摂取栄養素のバランスをとるための食品分類として〈六つの基礎食品〉を発表した。これによると食品は次のように6群に分類されている。…

※「基礎食品」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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