大洲市(読み)オオズシ

デジタル大辞泉 「大洲市」の意味・読み・例文・類語

おおず‐し〔おほず‐〕【大洲市】

大洲

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日本歴史地名大系 「大洲市」の解説

大洲市
おおずし

面積:二四〇・九三平方キロ

県の中央部。市域は、大洲盆地と周辺山地を含み、ほぼ円形をなし、中心市街地が、大洲盆地の南西隅ひじ川左岸に展開する。東宇和郡に発し、喜多きた肱川ひじかわ町を北流した肱川本流は、上浮穴かみうけな郡に発し、喜多郡内子うちこ町・五十崎いかざき町を南流した肱川支流小田おだ川と市の東南境鳥首とりくびで合流したうえ、市域中央部を西流し、嵩富かさとみ久米くめなどの諸支流を合わせ、大洲盆地に入って東北流し、支流矢落やおち川を合わせたうえ、西北流に転じ、喜多郡長浜ながはま町中央部で伊予灘に注ぐ。河口長浜から一二キロ隔たっている大洲盆地は、標高一〇メートル前後しかなく、加えて盆地西北の出口五郎ごろうから長浜までは先行性峡谷で肱川の川幅は狭く河水が停滞する。とくに満潮時の滞留ははなはだしい。肱川が例年大小の氾濫・洪水を繰り返した理由はここにある。また大洲盆地を水郷に仕立てた肱川は、夏―秋の頃、年間九〇日以上の朝霧を盆地底に発生させ、景観に潤いを添えている(→肱川

市域は古来喜多郡内にあり、郡の中央地域をもって昭和二九年(一九五四)九月一日市制施行、旧城下町の地名にちなんで大洲市と称する。

〔原始〕

当市域唯一の縄文期遺跡は、肱川本流と嵩富川との合流点近く北只常森の粟島きたただつねのもりのあわしま社の境内にあり、縄文式石器・土器を出土する。弥生期の遺跡として、大洲盆地北西部五郎の肱川西岸台地大又おおまたに、重弧文土器を出土する前期遺跡があり、大洲盆地北部矢落川北岸の新谷都にいやみやこの低湿地に中期の遺跡があり、東隣の都谷みやこだにの山丘から後期の土器片を出土している。肱川に臨む菅田町菅田の下村島すげたちようすげたのしもむらしまの台地には、弥生期の土器片と多数の石斧類を出土する村島遺跡がある。古墳としては、大洲盆地の南西隅肱川支流の久米川西岸、高山たかやま東麓に阿蔵あぞう古墳があり、鉄剣・鉄斧・須恵器を出土しているし、矢落川北岸の新谷地区に七世紀頃のものとみられる塚穴古墳がある。

この地方の特色ある遺跡として、大洲市街を囲む冨士とみす山・梁瀬やなせ山・紅葉もみじ山・神南かんなん山などの山地丘陵に、巨石崇拝の遺跡とみられる立石・机石群があり、このうち高山ニシノミヤの立石と冨士山の机石が代表的な遺跡とされている。

〔古代〕

和名抄」によると、貞観八年(八六六)宇和郡から分立した喜多郡には、矢野やの・久米・新屋にいやの三郷があり、そのうち久米・新屋の二郷が市域内にあった。久米郷は、大洲盆地南部から南部山地にかけて位置し大洲・喜多・久米・南久米・平野ひらの・菅田の各地区にわたっていたと推定され(→久米郷新屋郷は久米郷の北部に隣接し、大洲盆地の大半と肱川下流域にかけて位置し新谷にいや喜多山きたやまたいら粟津あわづ三善みよしの各地区にわたっていたと推定される(→新屋郷

大洲市
おおずし

2005年1月11日:大洲市と喜多郡長浜町肱川町河辺村が合併
【長浜町】愛媛県:喜多郡
【肱川町】愛媛県:喜多郡
【河辺村】愛媛県:喜多郡
【大洲市】愛媛県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大洲市」の意味・わかりやすい解説

大洲〔市〕
おおず

愛媛県南西部,大洲盆地に位置し,伊予灘に臨む市。北方海上 13kmの青島を含む。伊予灘を河口に,市中央を肱川が北流する。 1954年大洲町と平野村,南久米村など9村が合体して市制。 2005年長浜町,肱川町,河辺村と合体。秋から冬にかけて霧の発生が多い。中心街の大洲は,かつては河港で,万治1 (1658) 年までは大津と書かれた。元和3 (1617) 年以後,加藤氏 6万石の城下町として発展。内陸部は肱川の横谷部に臨む水郷で,昔から洪水が多かったが,1959年鹿野川ダムの完成により水害は解消した。かつては木ろうの特産地として知られ,伊予糸,大洲半紙を特産。また,江戸時代から養蚕が盛んで,大洲糸は質のよさで全国に知られた。 1972年,農村の余剰労力を利用して,トランジスタラジオの工場が立地した。林業のほかシイタケ,クリ栽培,米作も行なわれる。肱川の鵜飼いは多くの観光客を集める。先史時代の巨石崇拝を伝える遺跡や国の重要文化財である4棟の櫓をもつ大洲城 (復元) がある。伊予灘に面する市北部は瀬戸内海国立公園,南部は鹿野川湖畔を中心に肱川県立自然公園に属する。 JR予讃線が伊予大洲駅で内子線と分岐。海岸線に沿って国道 378号線が通るほか,内陸部で国道 56号線,197号線,441号線が集まる交通の要地。面積 432.12km2。人口 4万575(2020)。

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