出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
一般的に斧石とよばれる鉱物は、化学組成の違いから現在では4種類に細分されている。鉄斧石は褐紫色のものが多く、石灰岩の接触帯、石英閃緑岩(せんりょくがん)ペグマタイト、変塩基性火山岩中に産する。マンガン斧石は石灰岩の接触帯と層状マンガン鉱床に産する。前者の産状のものは褐紫色のことが多く、外観上鉄斧石と区別できない。大分県尾平(おびら)鉱山(閉山)や宮崎県土呂久(とろく)鉱山(閉山)から産する大形の結晶は世界的に有名。後者の産状のものは灰青ないし灰緑色をしていることが多い。チンゼン斧石は黄ないし橙(だいだい)色で、層状マンガン鉱床に産する。苦土斧石は、ジェムストーンの一つとして小さな礫(れき)の形でアフリカのタンザニアから発見された。青色透明で、長波長の紫外線で蛍光を発する。産状は明らかでないが、おそらく高圧型の変成岩中に産したものであろう。原産地以外では、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州に産出が知られていたが、2008年(平成20)に長野県下伊那(しもいな)郡産の鉄斧石の一部にも苦土斧石がみつかった。
斧石グループの鉱物は、鋭い刃のような板状結晶をするのが特徴で、名称は、斧を意味するギリシア語に由来する。また、チンゼン斧石は原産地スイスのチンツェンTinzenから命名された。
[松原 聰]
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