アイヒ(読み)あいひ(英語表記)Günter Eich

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイヒ」の意味・わかりやすい解説

アイヒ
あいひ
Günter Eich
(1907―1972)

ドイツの詩人。オーデル河畔のレーブスに生まれる。彼自身の評価によれば「遅ればせの表現主義者であると同時に自然詩人」として早くから詩作活動に入っていたが、ナチス時代には筆を折り、第二次世界大戦に従軍。捕虜収容所のなかで詩人として再出発し、「グループ47」に加わった。詩集辺地農場』(1948)は戦後西ドイツ詩の一起点を示すものであるが、自然との独特な関係のうちに実現される自己経験を通じ事物の不可視の謎(なぞ)を、ひいては人間存在の意味を探ろうとした詩作の成果『雨のたより』(1955)はドイツ現代詩の頂点の一つとなった。しかし彼の名を一般に広めたのは、『エルクベートへ行くな』(1950)をはじめとする数多くの放送劇である。彼は放送劇を純文学のジャンルにまで高めた。1960年にビュヒナー賞受賞晩年に散文集『もぐらもち』(1968)を発表して表現の可能性を追究、文学界にセンセーションを巻き起こした。

[内藤道雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイヒ」の意味・わかりやすい解説

アイヒ
Eich, Günter

[生]1907.2.1. レーブス
[没]1972.12.20. ザルツブルク
西ドイツの詩人,放送作家。ライプチヒ,ベルリン,パリの各地で法律,中国学を学んだのち作家生活に入り,第2次世界大戦中には6年間兵役についた。 1959年にビュヒナー賞を受賞。主著は詩集『辺地の農家』 Abgelegene Gehöfte (1948) ,『雨の使者』 Botschaften des Regens (55) ,『機会と石庭』 Anlässe und Stein-gärten (66) ,放送劇『ビテルボの娘たち』 Die Mädchen aus Viterbo (53) など。

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