アウストラロピテクスセディバ(その他表記)Australopithecus sediba

改訂新版 世界大百科事典 の解説

アウストラロピテクス・セディバ
Australopithecus sediba

前期更新世の猿人の一種。セディバ猿人とも呼ばれる。アウストラロピテクスは〈南のサル〉,セディバは現地語で噴水あるいは水源という意味。南アフリカの著名なステルクフォンテイン洞窟やスワルトクランス洞窟の北北東15kmにあるマラパMalapa洞窟(意味は家)で,2008年に南アフリカのウィットウォータースランド大学のバーガーL.Bergerとジェイムズ・クック大学のダークスP.Dirksによって発見された2体の部分骨格化石。模式標本の1体(MH 1)は少年だが,第2大臼歯が生えているので,現代人なら12歳以上に相当する。頭蓋腔容積(脳容積より10%ほど大きい)は420mlと推定されるが,すでに成人の95%に達しているとみなされる。もう1体は成人女性(MH 2)である。年代は195万~178万年前と推定されている。

 アウストラロピテクス・セディバの全体的な特徴は,この地方に少し前に住んでいたアウストラロピテクス・アフリカヌスと似ているので,その子孫と考えられる。脳頭蓋は丸みがあり,顔面と歯は小さく,咀嚼器官が退化し始めている点では進歩的である。腕は長く,強力で,猿人一般の特徴と似ていて,樹上生活への適応を示す。脚は短く,足骨構造も猿人の状態である。骨盤は,他の猿人とは少し違って,部分的に原人と類似している。股関節は猿人と同じように小さく,脚が短いことに対応している。しかし,骨盤のうちで,大殿筋の付着部となり,脊柱を支える部分(腸骨翼後部)は原人と同じように大きいので,直立二足歩行は他の猿人よりは巧みだったと思われる。

 洞窟からは,犬歯ネコ,ハイエナ,アンテロープなど多くの動物化石も見つかっている。セディバも動物も,洞窟の上の開口部から落ち込んだか,洞窟に迷い込んだと推定されている。セディバの化石は2体がすぐ近くで発見されているので,2人は同時に亡くなったらしい。
アウストラロピテクス・アフリカヌス →猿人 →華奢型猿人
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最新 地学事典 の解説

アウストラロピテクス・セディバ

学◆Australopithecus sediba

南アフリカのマラパで発見され,2010年に新種記載された化石人類。約200万年前に生息したが,同時代のParanthropus robustusとは違って歯が小さく,他方で頭蓋容積は猿人並みであることから,Australopithecusの新種と判断された。2個体分の部分骨格資料が発見されており,腰部には現代人に近い特徴がみられる一方,足部は原始的な特徴を残しているという。猿人の中でもっともホモ属に近い種であると主張されているが,ホモ属の祖先にしては年代が新しすぎるとの批判もある。

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