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直立二足歩行 ちょくりつにそくほこうerect bipedalism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

直立二足歩行
ちょくりつにそくほこう
erect bipedalism

人類において獲得された前進運動の方法。類人猿ニホンザルなどでも,これを行うことができるが,常習としているものではなく,歩行中も膝が曲るなど,安定性を欠く。したがって直立二足歩行こそ,最も人類的な特徴と考えられており,骨格などもそれに適合した構造になっている。すなわち,骨盤は横に幅広く,上体を支えることができるほど大きくなり,下肢,特に大腿骨が長い。大後頭孔は頭蓋底部中央に水平に位置するようになり,脊柱が頭を支えやすくなっている。直立二足歩行の結果,手が自由になって,道具使用が可能となり,今日の類文化が生み出されるにいたった。

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知恵蔵の解説

直立二足歩行

胴体と脚を直立させて、体重を支え、歩き、走ること。人類の最重要な特徴であり、自由になった手が文化を生み出すための基盤となった。全身が直立するために、重心線がから足までの各関節の近くを通るので、筋肉をあまり使わずに体重を支えることができる。直立二足歩行は、猿人時代に獲得され、原人の時代に事実上完成した。

(馬場悠男 国立科学博物館人類研究部長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ちょくりつにそくほこう【直立二足歩行 bipedalism】

基本的には四足歩行者である哺乳類が,上体および後肢大地に対して垂直に伸ばし,後肢のみで大地をけって歩行する移動様式をいう(鳥類でペンギンなどの例もあるがふつう含めない)。カンガルー前肢を使わず上体を半ば立てて移動するが,体重の支持とけりに尾が重要な役割をはたし,移動様式は跳躍であって二足歩行とはいいがたい。クマはほぼ直立に近い姿勢をとることができるが,この姿勢で長距離歩くことはない。サルや類人猿も,遠くを見通すときや両手に物を持ったときなど一時的に直立し,ときに二足歩行もするが,長距離にはおよばず,上体は前かがみに腰やひざは伸びきらないことが多い。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

直立二足歩行
ちょくりつにそくほこう
upright bipedalism

脊柱(せきちゅう)を直立させ、頭部をその上端にのせ、左右のかかとを交互に着地させつつ、できうるかぎり膝(ひざ)を伸ばして、二本の下肢で歩くこと。直立姿勢とともに人類を人類たらしめた特徴である。二足歩行は他の動物も可能であり、クマやサルや類人猿もこれを行うことができるが、長距離を歩くことは困難である。カンガルーは二本足で移動するが、跳躍であって、歩行ではない。鳥類は二本足で歩けるものが多いが、その際、脊柱は水平に近い。ペンギンのみが脊柱を直立させるが、腰と膝が大きく曲がり、その歩行は遅く、ぎごちなく、腹ばいの地上滑走や遊泳など他の方法による移動方法のほうが迅速(じんそく)かつ容易である。
 常習的に長距離の二足歩行を行えるのは人類だけである。人体は直立二足歩行に適した特徴を諸所に示している。脊柱が軽く前後にS字状に屈曲しているため、歩行にあたり、かかとが着地したときの衝撃が脳に伝わることを和らげ、また、足部内側の骨の連結がアーチ状をなし、土(つち)ふまずをつくるため、この骨のアーチはばねとなり、足の運びを円滑にしている。上肢に比べて長くて頑丈な下肢や、幅広で頑健なつくりの骨盤は二足歩行を強化している。左右の膝の接近は歩行時の横揺れを防ぐ。全身の筋肉の協調運動を可能にした運動神経中枢が発達していればこそ、直立二足歩行が可能になった。直立二足歩行のおかげで、上肢は前進運動から解放され、人類独特の各種作業に携わることができるようになった。
 直立二足歩行の起因として諸説があるが、いずれにしてもサルの段階での樹上生活の習熟が前提となっている。350万年ないし400万年の昔、人類進化の過程においてほぼ完全な直立二足歩行が出現したと考えられている。[香原志勢]

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世界大百科事典内の直立二足歩行の言及

【猿人】より

…歯は犬歯を含めて前歯部で小さく,それに対して臼歯部で(特にがんじょうな猿人で)かなり大きいのが特徴的である。脳頭骨の大孔(大後頭孔)が比較的前方に位置し,かつ下方を向いていて,そこに背骨(脊柱)がほぼ垂直についていたことを物語っていること,また腰の骨(骨盤)の形が現代人の場合に似て比較的幅広いことなどから,基本的には直立二足歩行をしていたと推定されている。レトリで発見された今から約350万年(ないし375万年)前のものとされる足跡にも,二足直立歩行をしていた状態を示すものがあり,猿人の時代も早い時期に,人類の直立二足歩行がすでに行われていたことを物語っている。…

【サル(猿)】より

…つまり,サルは樹上に生活の場を得てサルとして完成されたのち,あるものは再び地上に向かったのである。とくにヒトの祖先は,この地上生活への再適応を直立二足歩行という新たな移動様式の獲得によって成し遂げたと考えることができ,このような視点からサル類の移動様式(ロコモーション)の進化とヒトの直立二足歩行の起源が検討されている。 サルの主要な食物は植物であるが,多くのものが雑食の傾向をもつ。…

※「直立二足歩行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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