日本大百科全書(ニッポニカ) 「アエティウス」の意味・わかりやすい解説
アエティウス
あえてぃうす
Flavius Aëtius
(390ころ―454)
西ローマ帝国末期の将軍。ブルガリア地方のローマ系貴族の家に生まれ、若年のころ西ゴート人やフン人のもとに人質となった。425年ガリアの軍司令官に任ぜられ、以後約30年、侵入する異民族からガリアにおけるローマの支配権を守るべく奮戦、皇帝ウァレンティニアヌス3世のもとでパトリキウスやコンスルの称号を帯び、帝国の実権を握った。451年、アッティラ指揮下のフン人の侵入を、西ゴート人、フランク人などの援助によりカタラウヌムの戦いで撃退した。息子ガウデンティウスを皇帝の皇女と結婚させようと望んだため、ローマ貴族の反感と皇帝の不信を買い、暗殺された。彼の死後、帝国のガリア支配は急速に弱体化した。
[平城照介]
『P・クルセル著、尚樹啓太郎訳『文学にあらわれたゲルマン大侵入』(1974・東海大学出版会)』▽『P・リシェ著、久野浩訳『蛮族の侵入』(白水社・文庫クセジュ)』▽『L・アンビス著、安斎和雄訳『アッチラとフン族』(白水社・文庫クセジュ)』