アオゲラ(その他表記)Picus awokera; Japanese green woodpecker

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アオゲラ」の意味・わかりやすい解説

アオゲラ
Picus awokera; Japanese green woodpecker

キツツキキツツキ科全長約 29cm。雄は頭上から後頭が赤く,顎線はひげのように見え,両端が黒くて中央が赤い。側頭部,後頸,肩は灰緑色,雨覆,腰,尾,背面は黄緑色。胸腹部は淡い灰緑色で,胸下部から腹に V字を横に連ねた黒い波縞模様がある。風切羽は初列には黒地に白い横斑があり,ほかは緑褐色。雌は雄に似るが,頭上は後部だけが赤く,前部は淡い紫灰色。おもに低山帯の広葉樹林に生息し,冬季は平地にも降りてくる。生木や枯れかけの木に穴を掘って営巣する。雑食性だが,地上でアリをとることが多い。「きょっ,きょっ,きょっ」と鳴くので存在がよくわかる。繁殖期には「ぴょー,ぴょー」と鋭い鳴き声を出すうえ,樹幹を高速でたたいて音を出すドラミングを行なう。日本固有種で,3亜種があり,アオゲラ P. a. awokera本州佐渡島粟島飛島隠岐諸島に,カゴシマアオゲラ P. a. horii四国地方から九州地方に,タネアオゲラ P. a. takatsukasae屋久島種子島にそれぞれ分布している。

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改訂新版 世界大百科事典 「アオゲラ」の意味・わかりやすい解説

アオゲラ (緑啄木鳥)
Japanese green woodpecker
Picus awokera

キツツキ目キツツキ科の鳥。留鳥として本州から種子島まで分布している。日本特産種だが,数は多くない。全長約29cm。羽色は上面が暗緑色,下面が灰緑色で,下腹部V字形の黒い横斑がある。くちばしの下からひげ状にのびた赤と黒の顎線をもっているのが特徴。雄は頭頂部が赤いが,雌では後頭部だけ赤い。山地のよく茂った広葉樹林にすみ,秋から冬には平地に漂行するので,市街地でも見かけることがある。キョッ,キョッ,あるいはケッ,ケッとかん高い声で鳴く。繁殖期には雄は高木のこずえにとまって,ピョー,ピョーとよくとおる声でさえずる。また,樹幹や枯枝をくちばしですばやく連続的にたたき,コロロロ……という大きな音を出す。これも鳴声と同様,シグナルである。樹皮をくちばしでたたき,昆虫類の幼虫を引き出して食べるが,地上におりて採食することも多く,とくにアリ類を好む。小鳥類のように細い枝先にもよくとまり,秋にはニワトコアキグミアケビなどの木の実をとる。巣は大きな木の幹に自分で穴をうがってつくり,5~6月に1腹5~7個の卵を産む。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アオゲラ」の意味・わかりやすい解説

アオゲラ
あおげら / 緑啄木鳥
Japanese green woodpecker
[学] Picus awokera

鳥綱キツツキ目キツツキ科の鳥。中形種で全長約30センチメートル。日本の特産種で、本州から屋久島(やくしま)、種子島(たねがしま)にかけて分布し、主として広葉樹林と針広混交林に生息する。スギやヒノキの植林地には非常に少ない。本州以南でみられる緑色のキツツキとしては唯一の種である。本種の含まれるアオゲラ属は東南アジアを中心に約15種、北アフリカとヨーロッパに1種が分布している。ヤマゲラがヨーロッパまで広く分布するのを除けば、アジア南部(ボルネオ島、ジャワ島まで)に分布するグループである。また北海道にはヤマゲラが分布している。

[浦本昌紀]


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百科事典マイペディア 「アオゲラ」の意味・わかりやすい解説

アオゲラ

キツツキ科の鳥。翼長14.5cm,緑色で日本固有種。本州,四国,九州および属島の森林にすみ,一年中見られる。雑食性で木の幹に縦にとまり,じょうぶなくちばしで昆虫を掘り出して食べるほか,地上でアリなどを食べる。太い木に穴を掘って巣を作り,口笛のような大声でピョーピョーと鳴く。
→関連項目キツツキ

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